『宇宙怪人しまりす医療統計を学ぶ』佐藤俊哉

宇宙怪人しまりす医療統計を学ぶ (岩波科学ライブラリー (114))宇宙から進んだ科学力を武器に、地球征服しに来た「宇宙怪人しまりす」君。
ある日、地球人から税を徴収するために人口統計の必要性を感じ、一人の医療統計学者の下へ教えを請いにやって来た。
本書は、「医療統計って何?」という初歩的なところから、しまりす君と一緒に学んでいく医療統計学の入門書である。

タイトルに惹かれて読んだ。「宇宙怪人しまりす」と「医療統計」という言葉は、私にとって同じくらい馴染みのない“外国語”である。
医療統計は、政府や医療に従事する人たちだけに関係する研究で、自分の日常生活にそれほど影響を及ぼすものではない、と思っていたからだ。
筆者あとがきにある、「統計は学校の算数や数学の授業でまともに取り上げられることはなく、ほとんどの人は統計が世の中の役に立っている、なんて思っていないでしょう」という言葉は、そんな心の内をズバリ言い当てている。

本書は、医療統計という研究分野が、私たちの健康や生活にとても身近で、役に立つものであることを教えてくれる。
比・割合・率の違いや、風邪薬の効き目を調べる方法、たばこを吸って肺がんになる割合など、興味のあるテーマを分かりやすく解説している。
特に、分かっていたつもりの「比・割合・率」の違いの講義は、目から鱗が落ちる思いだった。私を含め、多くの人が混同して使っているのではないだろうか。
「統計」だけに、計算するところがあって少し頭を使うものの、1講義が十数ページというコンパクトさなので、数字アレルギーの者でも無理なく読むことができるのが嬉しい。全体的に物足りなさは残るが、とっつきにくい統計の世界を、一般人に身近なものにしたことは、大いに評価できる。

それにしても、統計とは地道な作業だ。病気の発症率などは、数年単位というスパンで調査しなければならないのに、途中で脱落者や行方知れずになった被験者が出ているのを読むと、医療統計家に同情してしまう。もっとも、そんな場合でも統計を出す方法がきちんと紹介されているのだが。
厖大な数字の背後にいる、統計を研究する人々の気配も感じられる一冊である。[Amazon]

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