『強運の持ち主』瀬尾まいこ

強運の持ち主主人公・吉田幸子の職業は、占い師。
ルイーズ吉田と名乗って、ショッピングセンターの片隅で店を構え、一人20分3千円で訪れる人の未来を占っている。
彼女は、占いをはじめた当初は、名前や誕生日を聞き、画数を調べ、表から数値を割り出して、占い本を駆使しながら真面目に占いをしていたが、そのうちに面倒くさくなり、自分の直感で占うようになった。やり方は簡単。明るい未来と暗い未来を7:3の割合で話して、当たり前のことをそれらしい顔で言うだけ。占いは結局話術なのだ、と割り切る彼女のところには、なぜか当たると評判になり客足は絶えない。
本書は、ルイーズ吉田と、彼女の元へ訪れた迷える人々との交流を描いた物語である。

本書には4篇収録されているが、どれもミステリー小説のように、謎解きを楽しませる構成になっている。
最初の「ニベア」は、小学生の男の子が客として訪れる物語。
どちらのスーパーに買い物へ行けばいいか、図書係か掲示係のどちらになるのがいいか、という相談は、彼女はいつものように口八丁で占っていた。ところが、お父さんとお母さんのどちらを選べばいいか占ってほしい、と頼まれた時に彼女は困惑する。自分の軽いひと言で子どもの将来を決めてしまっていいのか、と。
少年の依頼の真意は何なのか―。読者はルイーズと一緒に少年の複雑な事情を読み解いていき、意外な真相に辿り着く。

ルイーズはいい加減に見えるが、実は心優しい人間だということが、すべての物語から滲み出ている。
未来を明るいものにしようと必死で向かってくる依頼人には、同じくらいの真剣さで応えようとする。彼らにとって占いが当たるか当たらないかは、本当は重要なことではない。自分に共感し、思いに応えてくれる人がいる。そのことで人は救われ、前へ一歩踏み出す勇気を与えられるのだ。
そしてルイーズもまた、さまざまな客と出会い、語り合い、考えることで、自分の人生を見つめ、一緒に成長していくことに繋がっていく。
そんな彼らの心のふれ合いが、物語の読後感を、爽やかであたたかなものにしているのではないだろうか。[Amazon]

  1. はじめまして。
    占いを明るくポジティブにとらえている瀬尾さんの感覚に共感できますね。
    とってもあたたかい読後感でした。

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