『四月天才』小泉吉宏
■読者の心得■
その1 一気に読まずに、一篇一篇ゆっくりと味わうべし。
その2 「なんで?」「どうして?」と疑問を抱かず、ありのままを受け入れるべし。
その3 人生に役立てようとはゆめゆめ思うべからず。
この三つをしかと心に留めて読まれるならば、きっとあなたは本書を堪能できるにちがいない。
本書は37篇のショート・ショート集。これらの作品は、ひと月の間朝目覚めた作者の頭の中に入ってきたという短い小説をまとめたものだそうだ。
小泉吉宏の頭の中は一体どうなっているのだろう。『ブッタとシッタカブッタ』シリーズとはガラリと作風の異なる、不思議な世界を生み出している。当たり前だが全て違う話で、それぞれ異なった世界が広がっている。目の前に37の扉があり、一つずつ開けて足を踏み入れる感覚、とでもいえようか。間をあけて読まないと、うまく物語の世界に入っていけないのだ。
「洗脳石鹸」を読んで、美容院へ行くのがちょっと怖くなるのは私だけではないはずだ。
「臼と杵」は、たった7行の短い話なのに、それはまぎれもなく小説で、くすりと笑える。
「違和感」のようなことは大なり小なり、誰しも一度は感じたことがあるのではないだろうか。読後、背筋が寒くなり、今いる現実の世界が“正常に”機能しているか、つい確かめてしまった。
南伸坊の『仙人の壺』のような、あいまいで不思議な話が好きな人は楽しめるだろう。
傑作『シュークリーム』は、絵本として一冊の本になっているので、そちらで読むことをお薦めする。絵との相乗効果でさらに素晴らしいものとなっている。[Amazon]



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