『「植物」という不思議な生き方』蓮実香佑

「植物」という不思議な生き方街路樹や道端に生えている草花を見ていると、「いいよな、植物は。何の悩みもなく、ただじっとしていればいいんだから」と、羨ましく思うことがある。
ところが、一見のほほんとしているように見える植物は、絶え間なき戦いにさらされ、実にダイナミックに活動しているのだ。

知恵の限りを尽くして、自分を蝕む病原菌や昆虫から身を守り、涙ぐましい努力で子孫を残す。そんな厳しい戦いを勝ち抜いた植物だけが、生き残り、日の目を見ている。
そう考えると、いまいましいほどに増え続ける庭の雑草までが神々しく見え、愛情が湧いてくるから不思議だ。

本書は、この「植物」の未知なる世界への良き案内書である。
著者がナビゲーター役を務め、平易な言葉で分かりやすく読者を導いてくれる。
このガイドさん、とてもユニークなのだ。巧みに比喩を用いて、面白おかしく解説してくれ、飽きさせない。
著者の手にかかれば、アリは植物にとって頼りになる用心棒となる。
また、花の経営戦略は、大企業も顔負けのしたたかなものだし、紅葉の赤い色には、リストラされる悲哀が滲んでいるという。
無味乾燥なイメージの植物学が、にわかに色を帯び、輝き始める。科学読み物というより、木々や草花を登場人物にした小説のようだ。
植物に全く興味のない人でも、夢中で読みふけってしまうに違いない。
それでも気が乗らないという人は、試しに、目次にある18個の章タイトルを見てみてほしい。きっと本文を読まずにはいられなくなるはずだ。[Amazon]

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