『ひとり暮らしののぞみさん』蜂飼耳

ひとり暮らしののぞみさんひとり暮らしをしているのぞみさんの部屋には、大きな鳥かごがある。その鳥かごは毎日少しずつ大きくなり、とうとう部屋と同じ大きさにまでふくらんでしまう。そしてのぞみさんは鳥かごの中で暮らすことに。そこへ、大きめの小鳥と、小さめの小鳥という仲間が加わって奇妙な共同生活が始まる。

そもそも、部屋の鳥かごが大きくなってその中で暮らす、という設定からして変わった話である。その上、二羽の小鳥は普通に人間と会話をするのだから、本当に不思議な物語だ。
しかし、当人たちは別段気にせず、あるがままの状態を受け入れ、生活している。そのゆるさ加減が、何ともいえず、良い。まるで、そこでは周囲の世界と異なる時が流れているかのように感じられる。
一緒に食事をし、ほうじ茶とコーヒーを飲みながらもなかを食べる。のぞみさんと小鳥たちの日常は、ゆったりと過ぎてゆく。

ひとり暮らしは、気楽さの魅力があるが、やはり孤独の寂しさもある。一人でいるのがふと寂しくなった時や疲れて帰った時、こんな仲間が部屋で待っていてくれたら、どんなに癒されるだろう。
といっても、のぞみさんと小鳥たちはお互いべったりと依存している関係ではない。細胞が分裂や合体を繰り返すかのごとく、みんなでいるのもよし、一人になってもそれはそれで楽しい、というさらりとしたスタンスを取っている。
私が羨ましいのは、小鳥との共同生活ではなくて、各自が持つ「自立した強さ」なのかもしれない。[Amazon]

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