『4アウト ある障害者野球チームの挑戦』平山譲

4アウト―ある障害者野球チームの挑戦「身体障害者の野球」に対する物珍しさから、本書を手に取った人が多いかもしれない。私もその一人だった。
しかし、あとがきにあるように、本書は決してマイノリティの特殊な物語ではない。挫折を乗り越えた人間の強さを描いた物語なのだ。

本書は、身体障害者野球チームの勝利への記録である。ここに登場するのは、イチローや松井のような有名人ではない、無名の人間だ。
もう一度野球をしたい。
その熱い思いを抱えてチームに集まってきた人たち。彼らは病気や事故で突然自分の人生を断ち切られた。自分の力ではどうすることもできない運命への虚無感、絶望感、不安感が克明に描かれていて胸を打つ。
俯きがちだった彼らが、野球によって自信と仲間を得てゆく。本書に込められているメッセージは、「勝利への飽くなき執念」だ。
「障害」を「成長への飛躍台」に変えた彼らに、私は魂の強さを感じた。
「もう一度レギュラーをとれ」とは、監督が選手たちによく言う言葉だが、これは苦悩の海に沈んでいるすべての人間に向けられたものではないだろうか。

タイトルの「4アウト」とは、「人にできるのは、見えないなにかに三つのアウトを宣されようとも、否定の上に肯定をうちたて、四つめのアウトまで精いっぱい歩きつづけるしかない」という意味だそうだ。それは、どんな困難に見舞われようが負けずに前に進み続ける勇気の異名なのかもしれない。[Amazon]

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