『中庭の出来事』恩田陸
- 恩田陸
- 新潮社
- 1785円
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書評
演劇とミステリを融合した作品。
前作『チョコレートコスモス』では舞台にかける役者たちの内面が丹念に描かれたが、こちらは役者も芝居の歯車の一つでしかなく、主役は舞台そのものである。
この作品は、いくつもの物語が同時進行で語られ、重なり合って謎が謎を呼ぶ仕掛けとなっている。現実と虚構の世界が入り混じって最後まで先の読めないスリリングな展開に、混乱しながらも、一気に引き込まれていく。
本書は、シェイクスピアの『夏の夜の夢』が下敷きになった作品なので、そちらを読んでいると更に楽しめる(知らなくても全く不都合はないが)。『夏の夜の夢』と同じく本書も「劇中劇」の形式を取っているのだが、そこにミステリの要素を付け加えたところに、作者のオリジナリティーがあるのだ。
「中庭」をひとつの舞台に見立てたところなんて、本当に巧い。
恩田陸は、「つかみ」と「引き」に関しては不安を感じさせない作家である。問題なのは、どう「締め」るか、という一点。謎が加速度的に増殖し、物語が複雑になっていくにつれて、私は「頼むぞ。しっかり終わらせてくれよ」と祈るような気持ちでページをめくった。
強請られていた内容があいまいだったり、線路を歩く二人の男の情報が少なすぎたり、といくつかのほころびは見られるものの、作者は物語の手綱を最後までなんとかコントロールしたといえる。
もっとも、複雑に入り組んだ構成には奇をてらった印象を受け、何もここまですることはないのでは、とも思う。
結局、このラストを受け入れられるかどうかが、作品の評価の分かれ目だろう。
読後、頭の中を整理するために現実に起こったことと、虚構の世界を分けて書き出していたのだが、途中で馬鹿馬鹿しくなった。そもそも、読んでいる小説自体が、フィクションなのだから。[Amazon]
※本書は、本が好き!経由で献本していただきました。

中庭の出来事

「中庭の出来事」恩田陸
著:恩田 陸出版社:新潮社定価:1785円(税込み)中庭の出来事livedoor BOOKSで購入書評データ恩田陸の作品はどれも好きだが、特に私はミステリが好きだ。「夜のピクニック」とか、少年少女を描いた作品も素直に好きなんだけど、恩田作品のミステリの中途半端さというか、・
はじめまして。「本が好き!」からやってきました。
私も混乱させられました。恩田さんのミステリは好きなのでめくるめく幻惑にひたすらひたっていた感じです・・。もう一回メモをとりながら再読するかな、と思ったりしています。
またお邪魔させてください。ではでは。
コメントありがとうございました。
読み終わった人たちで語り合いたい作品ですよね。書評となると全部書けないのでもどかしいというか・・・。
個人的には、先に読んだこともあり、『チョコレートコスモス』の方が好みです。
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