『三四郎はそれから門を出た』三浦しをん

本好きは常に、何か面白い本がないか、アンテナを張り巡らせているものだ。
新刊情報のチェックを怠らず、新聞の書評欄を丹念に読み、書店へまめに足を運んで棚を物色する姿は、さながら血に飢えたドラキュラのようだ。
けれど、そんな涙ぐましい努力(?)は、心を震わせる素晴らしい一冊に巡り会える喜びに比べれば小さなもの。その一冊に出会えるならば、どれだけの時間と手間と金をつぎ込んでも惜しくない、と思わせるほどの力が本にはあるのだから。
そして、本好きは、他人がどんな本を読んでいるのか、無性に気になるものだ。よく言われる、「本棚を見ればその人間が分かる」との言葉は、ある意味、真理だと思う。その人が何に興味があって、どんな考え方をしているのか、ということを、本棚に鎮座する書物は静かに語っている。いわば、その人間の読んでいる本を知ることは、その脳みそを覗いているようなものなのだ。
本書は、作家・三浦しをんのブック・ガイド本である。いろいろな媒体で掲載された、本にまつわるエッセイを一冊にまとめたものだ。
彼女の「スーパー読書家ぶり」はよく知られているが、本書を読めば一目瞭然である。小説、コミックから写真集まで、さまざまなジャンルを軽々と飛び越えて触手を伸ばす。
中でも、毎回二冊の本に共通点を見出して論じている第二章「三四郎はそれから門を出た」は、読み応え十分である。
小学生の男の子の日常を描いたトールモー・ハウゲンの『夜の鳥』と、やくざ映画に共通点を見つけられる人が、一体どれぐらいいるのだろう。一見関係なさそうな二冊の本が、作者のフィルターを通して、共通のテーマを浮き上がらせる。比較することで主題がいっそう明確になる、というのは、あらゆる論議にもいえることなのかもしれない。
本書は「ブック・ガイド」だが、単に本の内容を紹介しているだけではない。難解な書を面白おもしろおかしく評し、軽めの作品を深く読み込む。どんなジャンルの本であろうと、根底には彼女の思想がしっかり横たわっていて、三浦しをんの世界を創り出しているのだ。
書評とは、それ自体ひとつの作品である、ということを教えてくれる一冊だ。[Amazon]



三四郎はそれから門を出た
三四郎はそれから門を出た / 三浦 しをん 完全な活字中毒者だという三浦しをんさんによる、ブックガイド・カルチャーガイド・書物にまつわるエッセイの他、著者の日常や家族のことをユルい文章で綴ったあれこれが一冊に
三浦しをんさんが案内する本の世界~何作品かは私が読んだことあるものも含まれているだろうと思ったのですが、まったく無かったのには、ほんのちょっとショックを受けました。私の読書量なんて、まだまだヘみたいなもんなんだわ、と。
TBさせていただきます。
最初のうちは読みたい本に付箋をつけていたけど、途中でやめました。むしろ、読んでいない本をチェックした方が早いということに気づいて・・・。
ブックガイド本って、読んでいて楽しいし、ためにもなるんだけど、妙に焦りも感じてしまいます。