『ハリー・ポッター 魔法のブランド術』スティーブン・ブラウン

ハリー・ポッター 魔法のブランド術

  • スティーブン・ブラウン
  • ソフトバンククリエイティブ
  • 1575円

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書評

私が、『ハリー・ポッターと賢者の石』の出会ったのは、日本ではほとんど話題になっていない時で、あまりのおもしろさに家族や友達に薦めて回ったものの、反応は冷ややかなものだった。その時は、まさかここまで大ベストセラーになるとは思いもよらなかった。今や世界中の認知度たるや、マクドナルドに匹敵するのではないだろうか。

確かに、『ハリー・ポッター』シリーズは傑作だし、人々が夢中になるのは肯ける。けれど、シリーズを通してみたら傑作とはいい難い作品もあるし、同じくらいおもしろい作品は他にたくさんある、とも思う。
にもかかわらず、なぜ『ハリー・ポッター』はこんなに売れたのか。そこには、作品自体の素晴らしさ以外の戦略が隠されているのではないか。そんな発想から、『ハリー・ポッター』シリーズの魅力をマーケティングの観点から読み解いたのが本書である。

過度に期待して読んだのがいけなかったのだろうか、私にとって本書は刺激的でも有益でもなかった。
なにより不満なのが、取材不足なこと。ネットや新聞の記事を切り貼りしてまとめたようなレポートで、大学教授の本にしてはあまりにお粗末である。
本書では、『ハリー・ポッター』の人気の秘密を、①物語、②作家、③本、④映画、⑤秘密、⑥スピンオフ、⑦批評家、⑧消費者の要素から分析している。これらの要因が重なってメガヒットの好循環を生み出した、というのだ。
もっともらしく述べられているが、書かれている内容は作品を読んだことのある人にとっては周知の事実か、少し考えれば分かるようなことで、「何をいまさら」と読んでいてしらけてしまった。
例えば、作者の創作秘話が作品にブランド力を持たせているとか、さまざまな魅力的なアイテムが登場する物語自体がマーケティングの宝庫だとか。

そもそも本書は、どんな読者を想定して書かれたものなのだろうか。門外漢の私ですらわざわざ言われなくても知っているのに、マーケティングに携わる人たちが、本書から得るものがどれだけあるのだろう。
もっとも、「最も有効なマーケティングの形態は、マーケティングをしないこと」という一見矛盾したマーケティング論や、「多義的ブランド」の可能性についての言及は興味深く参考になった。

本書は、ブランド戦略について論じた「THE BRANDING」シリーズの第5段。既刊4冊は未読だが、これまでスターバックス、ベッカム、グーグル、アディダスのブランド戦略を紹介している。
最近、「ブランド」というものが、マーケティングの大きな価値として注目されるようになってきた。ブランドというと、企業(やその商品)を指す印象が強かったが、本書では物語そのものにブランド力を認めている点がおもしろい。
この物語を、作者、出版社、映画会社がうまく活用し世界中は魔法の虜になっている。その魔法の杖を振っている当事者たちの生の声が聴きたかった。[Amazon]

本書は、本が好き!経由で献本していただきました。

  1. 「ハリーポッター魔法のブランド術」

    著:スティーブン・ブラウン 訳:杉 美春 出版社:ソフトバンク クリエイティブ 定価:1575円(税込み)ハリー・ポッター 魔法のブランド術livedoor BOOKSで購入書評データ_uacct = "UA-918914-3";urchinTracker(); 良い着眼点でなるほどと思わせてく….

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