『世界のドア』ベルンハルト・M・シュミッド

子どもの頃、ドラえもんの「どこでもドア」が欲しかった。
「どこでもドア」さえあれば、学校が始まるギリギリの時間まで寝ていられるし、世界一周旅行も思いのままだ。いつ人に見つかって捕獲されるか分からない「タケコプター」より、何倍も使えるアイテムだと思っていたのだ。
もちろん、そんな便利な道具はないし、22世紀まで待つこともできない。けれど、本書を開いて、家にいながら一瞬にして世界中を巡った気分を味わうことはできるだろう。
本書は、世界各地のドアだけを写した写真集である。
一口にドアといっても、国や地域、住んでいる環境によってさまざまだ。形状、大きさ、材質、色など、どれひとつとして同じものがなく、なかなか奥が深い。
例えば、カバーに使われている写真は、イギリスにある家のドアだが、色は真っ赤。
また、中東・イエメンのドアは、木をちょうつがいで止めただけで色も塗っておらず素っ気ない。でもきっちりと直線に切っていない木が、味わい深くてあたたかみを感じるのだ。
反対にヨーロッパでは、どっしりと重厚感のあるドアが多いように思う。年月を経て培われた独特の風合いが、落ち着いた雰囲気を醸し出している。
インドやネパールのドアは、精巧な彫刻がなされていて、まさに芸術品だ。
本書をパラパラ見ていると、普段人を訪問する時、その家のドアに注目していなかったことに気づいた。
ドアは行き止まりではなく、どこか別の場所につながっている。写真のドアは閉じた状態なのだが、その先には何が広がっているのだろう、と想像しながらページをめくるのが楽しかった。
ただ不満なのは、ドアを写した場所の説明が、巻末に分けて書かれていること。「これはどこのドアなのだろう」と思ってもわざわざ後ろのページを見なければならないので面倒だった。[Amazon]



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