『ウラナリ』板橋雅弘

ウラナリ (YA!ENTERTAINMENT)この「講談社YA!ENTERTAINMENT」は、時代小説からラブコメ、SF、ミステリーと、さまざまなテイストのヤングアダルト作品を紹介しており、以前から注目しているシリーズだ。軽いタッチの中にも、十代の少年少女たちの葛藤や苦悩といったものを描き出し、なかなか読み応えがあるのだ。
ウラナリは、「これぞ青春小説」といえる作品。親子関係、友情、勉強、クラブ活動、恋愛に悩みながら前へ進んでいく中学生の姿を、瑞々しく描いている。
本書を第1段としてシリーズ化されており、他に、『ウラナリ、北へ』『ウラナリと春休みのしっぽ』『ウラナリは泣かない』の3冊がある。(追記:『ウラナリ、さよなら』で完結)

主人公は、黒木隼(ハヤブサ)、中学三年生の15歳。
身長176センチ、体重52キロ、色白で手足が長く、ひょろりとした体型をしている彼は、成績、運動のどれをとっても普通で目立たない少年だ。両親は離婚し、父親と二人で暮らしている。ある日、ハヤブサの前に一人の美少女が現れ、彼を殴り去って行った。「ウラナリ」という捨て台詞を残して。ハヤブサはこの出来事を機に、ハンドボール部に入り、夢中で練習に励むように。
本書は、この少年と謎の少女を軸に、諸事情に翻弄されながらも友情や愛情を育んでいく少年少女たちの姿を映し出した青春小説である。

なにより、キャラクターが生き生きしているのがいい。
「無反抗という反抗」をしてきたハヤブサ、プライドが高く自分勝手だが心に寂しさを抱えているサクラ、自分なりの生き方を冷静に淡々と貫くアサカゼなど、それぞれの個性がうまく描かれている。他にも、ハンドボール部の仲間や彼らを取り巻く大人たちがいい味を出していて、爽やかな物語に仕上がっているのだ。

中学生は、中途半端な年齢である。自分では「こうしたい」と思っても、大人の都合に影響を受けざるを得ない。
けれど、この時期でしか味わえない喜びや感動もたくさんあるのだ。悩みを抱えながら懸命に生きる主人公たちの姿は、キラキラと眩しく映る。「若さ」とはそれだけで素晴らしいものなのだ、としみじみ思える作品である。[Amazon]

    • IFRIT
    • 2007年 6月4日 8:47pm

    いいですね。すごく青春をかんじました。この本ドラマとかになってほしいなぁと思いました。

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