『光草 ストラリスコ』ロベルト・ピウミーニ

光草(ストラリスコ) (Y.A.Books)なんてきれいな物語なのだろう。
まるで詩のような、美しい世界。まさにこれは、一篇の詩である。光と闇の両面が、端正な文章で描かれ、読者に一幅の名画を見せてくれる。

日の光や埃に触れることのできない病を抱えた少年がいた。父親は外出がかなわない息子のために、彼の部屋の壁に絵を描くことを、ある画家に依頼した。画家は、少年と対話しながら、真っ白な壁をキャンパスに見立て、さまざまな絵を描いていく。
高い山々や、ふもとで草を食む羊たち。戦いのさなかの町。どこまでも続く広い海。花や草木が生い茂る大草原。画家の筆と、少年の発想という二人の共同作業によって、絵はまるで生きもののように、刻々と変化する。
しかし、絵の進行とともに、少年の病状は悪化。そして、完成した絵とは・・・。

これは、命の輝きの物語である。
奇病に侵され、死と隣り合わせの少年と、生き生きとした躍動感のある壁の絵。命あるものの「生死」が、ここでは描かれている。
といっても、少年は、決して自らの境遇を嘆いている訳でも、健康な他人を羨んでいる訳でもない。与えられた「生」を、精一杯輝かせるかのように生きている。その輝きの象徴が、少年が自ら創り出した、“光草(ストラリスコ)”という発光植物なのだ。
最後に少年が父親に「光草は輝かないのかい?」と問われて、「でも、星があるよ」と答える場面が感動的だ。自分のことより、残された父親を気遣う少年の姿が、胸を打つ。

また、本書は、画家と少年の心の交流を描いた作品でもある。彼らが本当に創り上げていたのは、絵ではなく、たくさんの物語なのだ。そして、壁に描かれたのは、二人の心の軌跡といえるのではないだろうか。[Amazon]

イタリア:堀川理万子・翻訳

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