『チョコレートコスモス』恩田陸
恩田陸は、読者を楽しませる術を心得ている作家だと思う。
さらりと書かれながらも、これから何が起こるのだろう、と期待させる導入部。少しずつ見えてくる登場人物たちの輪郭。一気に加速するストーリー展開と、手に汗握るクライマックス。まるで大きな波のうねりにのみこまたように翻弄され、息つく暇もない。
何かを調べたり、人生の指針を求めるような読書もいいが、「物語を純粋に楽しむこと」が、本を読むことの出発点であり、読書の醍醐味といえるのではないか。その意味で、「ああ、面白かった」と心の底から感じられる本書は、エンターテイメント性に優れた恩田作品の、現時点での最高傑作である。
物語は、舞台に生きる演劇人たちの姿を描いたもの。
思うに、本書の成功は、題材に「演劇」というエンターテイメントを選んだことにある。それを、掴み所を心得た作家が料理するのだから、面白くならない訳がない。
中心登場人物の一人は、これまで演技経験がないのに、天才的な演技能力を持つ女子大生の佐々木飛鳥。もう一人は、芸能一家のもとで育った若手実力女優・東響子。かたや小劇団の新人女優。かたや演劇界のサラブレッド。
出会うはずのない二人の女性が、映画界の重鎮監督が企画した、ある芝居の下に引き寄せられていく。物語の内容やキャストも未定で、決まっているのは、「女二人の芝居」ということだけ。
この作品の最大の魅力は、二つしかない椅子を巡って繰り広げられる女優たちの戦いである。演技のテクニックだけでなく、彼女たちの競争心、成長、葛藤、といった内面の部分が、丁寧に描かれる。
オーディションで課題として与えられた、有名な『欲望という名の電車』を、さまざまな解釈で演じるシーンは、作品を弥が上にも盛り上げ、飽きさせない。
時間を忘れて夢中になって読んでいたのに、読み終えた後は、それまでの興奮が嘘のようにすうっと引いていく。そう、これは、一夜の夢を見せてくれる舞台そのものを文字にした作品なのだ。[Amazon]



この本は、ほんと、面白かったです。
オーディションシーンが正にバトル!!。
続篇についても、恩田さん自身が言及されているとか、、
この後の、佐々木明日香も読んでみたいです。
コメントありがとうございました。
TBもお気軽にどうぞ。
続篇、出る可能性があるんですか。それは楽しみです。
ますます小説版・『ガラスの仮面』になっていきますね。
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ぐらさん、すいませんでした。
TBするって、コメントだけ残して、ずーっとしていませんでした。(汗)
そろそろ、恩田作品を又、何か、読もうかなぁと、
思っている今日この頃です。
このブログの調子が悪いのかなぁと思って忘れてました。
わざわざどうも。
来月出る恩田さんの新刊は、ちょっと気になってます。
特に好きな作家というわけではないのに、なぜか新刊が出ると読んでしまいます。
本好きのツボを心得た人だ・・・。