『都立水商!』室積光

都立水商(おみずしょう)!商売をやりたい子が行く商業高校。
技術を身につけて、工場で物を作りたい子が行く工業高校。
農家の子や農業をやりたい子が行く農業高校。
船に乗って漁をやりたい子が行く水産高校。

では、水商売の道に進みたい子が行く水商業高校があってもいいのではないか。そんな発想で誕生した、「都立水商業高校」。そこでは、「ホステス科」、「マネージャー科」、「バーテン科」、「ホスト科」、「ゲイバー科」、「ソープ科」、「ヘルス科」といった専攻科目があり、その道のプロを養成するのだ。

この突拍子もないストーリー設定に、好奇心で読み始めた。正直、「ふざけた内容だろう」と、ほとんど期待はしていなかった。
が、読んで驚いた。
髪を染めていない生徒には教師の厳しいチェックが入り、ソープ科ではこけしの手こすり千回授業が行われる・・・。
「ありえない」設定に、自分の中にある、「学校教育」の認識を根底から覆されるのだ。「こんなこと、おおっぴらに教えていいの!?」と何度も突っ込みたくなる。
そんな中、水商の生徒の出現で街の女子高生の援助交際が駆逐されるというものには、妙に説得力があって、話にぐいぐい引き込まれてしまった。

そして、読み進めていくと、これは単なる意表をついただけの、おふざけ本ではないことが分かる。ここでは、「教育と何か」という問題提起がなされているのだ。
なにより、水商の教師たちが、熱い情熱を持って生徒に接しているのがいい。落ちこぼれだった生徒たちの可能性を信じ、自信とやる気を取り戻させる。本書の半分を占めている、野球部の甲子園への挑戦物語は、教師と生徒の信頼関係を美しく描いており、心に染み入った。

軽い話のようにみえて、なかなかどうして深い『都立水商!』。
おもしろくて、しかも人生の意義を考えさせる小説を読みたい人におすすめの一冊である。[Amazon]

都立水商! [DVD]
都立水商!

  1. 都立水商!―室積 光

    商売について勉強したければ、商業高校。船に乗って漁をやりたい子は水産高校。
    ならば、水商売の道に進む子のための職業高校を作ろう!
    と、新宿 歌舞伎町に新しく『東京都立…

  2. こんにちは。
    ふざけた設定なのに、実は真面目に教育について語った本ですよね。
    良い意味で裏切られた小説でした。
    私のブログでTBされたとコメントいただいたのですが、TBがうまく出来ていなかったようです。お手数ですがもう一度頂いてもよろしいでしょうか?
    すみませんが、お願いいたします。[絵文字:e-466]

    • ぐら
    • 2007年 10月14日 9:35pm

    やっぱりトラックバック、送れていなかったですか。
    どうも、ちゃんとできるのとできないのがあるんですよね。
    目下、原因を探っているところです(アナログ人間にはキツイ!)
    もしかして、「言及リンクの無いトラックバックを受け付けない」に設定していますか?

  3. こんばんは。
    TBいただきました。ありがとうございます。
    >もしかして、「言及リンクの無いトラックバックを受け付けない」に設定していますか?
    今確認しましたら、そうなっていました!Σ(゚口゚;
    す、すみませんでした!![絵文字:e-466]
    そんな設定があることも知らなかったので、教えていただいてありがとうございます!
    設定変更いたしましたので、またコメント&TB下さいm(_ _)m

    • ぐら
    • 2007年 10月15日 8:53pm

    送れたみたいで、よかったです。
    トラックバックについては、言及リンクの有無を含めていろいろ議論されていますが、私はなんのこだわりもありません。
    ただ、人によって考え方が違うので、初めてトラックバックする時はひと言書くようにしています。
    基本的に面倒くさがりなので、「これは!」と思った記事にコメントを書くぐらいなんです。
    ブログには、「余計なお世話的」な機能が結構ついているので、花梨さんのスタンスに合った設定にしていけばいいと思いますよ(ブログを活かし切れていない私が言うのも何ですが)。
    花梨さんのレビュー、楽しみにしています。

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