『海賊ジョリーの冒険2 海上都市エレニウム』カイ・マイヤー
「海賊ジョリーの冒険」三部作の第二部。
海上都市エレニウムに辿り着いたミズズマシのジョリーとムンクたち。そこで彼らは、〈暗黒の海〉」の手先〈大渦潮〉と戦うためのさまざまな訓練を受けることに。
自らに課せられた使命の重圧に苦しむジョリー。反対に、特殊な能力に得意になって自分を見失うムンク。本書では、二人の性格の違いがはっきりと現れ、そのために生じるすれ違いも描かれる。
次第に明らかになってくる敵の正体は、最終巻への期待を膨らませる。
本書では、エレニウムの成り立ちや「暗黒の海」と「大渦潮」との関係が明かされる。「正義」と「悪」と単純に二分化できない二つの勢力の対立は、なかなか奥の深い問題を投げかけている。
要は、どちらの側から見るかで、ものごとというのはガラリと変わってしまうのだ。
エレニウム側にも、「暗黒の海」側にも、自分たちなりの「正義」がある。どちらか一方が完全に「悪」だと決めつけることは、本当は傲慢なのかもしれない。
本書では新たに、馬と竜の中間のような存在〈海馬〉という生きものが登場する。いわば、ペガサスの海版といったところで、じつに魅力的に描かれている。
ただ、物語としてはそれほど進展がなく、決戦前のしばしの休息といった雰囲気が漂う。
最終巻ではどのような真実が明かされるのか。ジョリーたちが戦うべき敵の正体とは何か。期待して待つこととしよう(「訳者あとがき」でふくみを持たせているので)。[Amazon]
ドイツ:佐竹美保・翻訳



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