『グーグル Google 既存のビジネスを破壊する』佐々木俊尚

グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する  文春新書 (501)グーグルマップがネットで公開された時は、衝撃だった。
マピオンマップファンなど、他の地図検索サイトが提供するものよりも、使いやすさの上で断然優れていたからだ。これが、検索エンジンとしてではないグーグルの側面に注目したきっかけだったように思う。
グーグルマップだけでも驚きだったのに、その後グーグルはグーグルアースという驚愕のサービスを提供し、最近では人気の動画投稿サイト・YouTubeを買収し、さらなる進化を続けている。
グーグルの強さの秘密は何なのか。そして、グーグルは一体どこへ向かおうとしているのか―。そんな疑問を、少なからず答えてくれるものが、本書である。

本書は6章からなる。ここでは、グーグルニュース、キーワード広告、サーチエコノミー、ロングテール現象をキーワードに、グーグルという現代の怪物の正体を少しずつ明らかにしている。
業種の枠を飛び越え既存のビジネスを破壊していく破壊者としての姿や、ピンポイントで広告宣伝する発信者としての姿、巧みな収益構造を生み出す創造者としての姿、潤沢な資金を元にユーザーの心をつかむサービスを提供し、全てを飲み込んでいく支配者としての姿が、さまざまな事例を通して分かりやすく書かれている。
本書を読むと、グーグルが単なる「検索エンジン企業」というより、「巨大な広告代理店」の色合いの強い企業であることが分かる。もちろん、それも正確かつ高度な情報検索技術があってこそ、なのだが。

また、本書では、私たちのライフスタイルを便利で快適に変えつつあるグーグルの“光”の部分だけでなく、それによってもたらされる“影”の部分も書いている。
これまでは国家が権力を握り、そこで暮らす人々を支配していたが、これからは、グーグルという一企業が新たな支配者としての立場を確立していくのだろうか。いや、既にその座を得ているのかもしれない。

グーグルアドセンスという広告配信サービスがある。
一日に何十万という人が訪れる集客力のあるサイトでは、内容と連動して配信される広告をクリックする人はかなりの数になるだろう。彼らがリンク先のショッピングサイトへ赴き、そこで紹介されているさまざまな魅力的な商品を見て物欲を刺激され、購入する。
それが悪いことではない。広告主(企業)・サイト運営者・消費者の三者が効率よく得をするシステムは、本当にうまくできていると思う。
けれど、その利便性とともに際限のない消費社会を生み出しているような不安も感じてしまうのだ。

世界中の人間の個人情報を一手に握る存在に、人々が意識しないまま支配されている未来の世界はもしかすると、映画『マトリックス』の中のことだけではないのかもしれない。[Amazon]

  1. グーグルGoogle 既存のビジネスを破壊する/佐々木俊尚

    グーグルGoogle 既存のビジネスを破壊する/佐々木俊尚『ウェブ進化論』を読んだので次はタイトルに期待してこの本を読みました。しかし、タイトルに惹かれてこの本でグーグル社を知ろうとすると肩透かしを食います

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