『ウェブ進化論―本当の大変化はこれから始まる』梅田望夫
遅まきながら、本書の紹介である。
ベストセラーになったので、かなりの人が既に読んでいることと思う。Amazonのレビュー数は、2007年6月17日時点で230件!
私自身、出版されてすぐ読んだので、今回再読となる。
読み直してみて、本書を理解できていなかったことを痛感させられた。
発売されて一年半が過ぎ、ウェブを巡る環境は変化し続けている。本書で書かれたことが具体的な形(サービス)となって目の前に現れ出して初めて、「なるほど、そういうことだったのか」とやっと分かるようになった(単に私の理解力が弱いだけなのかもしれないが)。新書を再読することはほとんどないが、本書は今読んでも充分刺激的な内容だ。
本書は、現在ウェブ上で起こっている変化の本質を捉え、分かりやすく読み解いた一冊である。数年前、インターネットが私たちの生活にもたらす変化の速さを、「ドッグイヤー」と言っていたことは記憶に新しい。
だが、著者いわく、これから始まる「本当の大変化」は、着実な技術革新を伴いながら、長い時間をかけて緩やかに起こるもので、ゆっくりとだが確実に社会を変えていくのだという。(P.18)
最初、この部分を読んでもどうも実感が湧かなかった。けれど、何か調べる時はとりあえずグーグルで検索し、気になる本はネット上のレビューをチェックしてオンライン書店で購入し、興味を持ったサイトの記事は外出先でも見れるように公開ブックマークを利用する。そんなことを何の疑問も感じず当たり前のようにしていた自分の姿こそが、著者の言う変化の姿なのだと思い至った。
シリコンバレーの風土を体感した著者の意見を、「楽観的すぎる」と批判する声がある。確かに、ネットで犯罪やトラブルに巻き込まれる可能性はある。しかし、それは現実社会でも同じこと。大事なのは、その危険性を理解した上で、この世界でどうやって生き抜いていくのか。
もはや、インターネットなしの生活は考えられない。娯楽以上の生活インフラとなっていくだろう。だとしたら、ウェブの世界と向き合い、何が起こっているか見極めることから始めるべきではないだろうか。
本書はウェブ全体を俯瞰した一冊であるが、その話題の中心はグーグルである。その意味で、『グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する』とセットで読む方が理解しやすい。
著者は、「次の10年への三大潮流」である、「インターネット」「チープ革命」「オープンソース」の三つの全てを体現した存在がグーグルだと述べる。グーグルを単なる「検索エンジン企業」と思っている人は、目から鱗が落ちるはずだ。
他にも、ロングテール現象、ブログ、Web2.0など、ウェブ上の新現象を分かりやすく解説している。
特に、
「総表現社会の到来」とは、著作権に鈍感な人の大量新規参入(ブログの書き手やグーグルのようなサービス提供者の両方)を意味する。(P.183)
との指摘は、著作権問題を考える上で、とても参考になる。
YouTubeなどを見て分かるように、著作権に対する権利者側とユーザーの意識は、今後ますます広がっていくのではないか。現在の法律では対応し切れていない現実が、浮き彫りになっている。
私は、ネットの持つ自由でオープンな性質と、「これは自分のもの!」と主張する著作権とは相容れないのではないか、という疑問を感じている。クリエイティブ・コモンズのような考え方のほうが自然で、共感できる。[Amazon]



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