『次世代ウェブ』佐々木俊尚

次世代ウェブ  グーグルの次のモデル (光文社新書)私はネットで何か調べる時、専らグーグルの検索に頼っている。他の検索エンジンより欲しい情報がすぐ手に入りやすいからだ。より早く効率よく検索するテクニックを解説した参考書籍も読んだ。
それでも、満足できない。適当な検索キーワードを思いつかない時や、欲しい情報がダイレクトに検索結果に出てこない時などには、グーグルといえども不便さを感じる。そこに、グーグルを超える新たなネットビジネスの可能性がある、と著者は言う。

1970年代~80年代にかけて設立された初期のネットベンチャー(ソフトバンクなど)は第一世代、1990年代に台頭したライブドアや楽天などは第二世代、ミクシィやはてななどのWeb2.0的企業は第三世代と位置づけられる。
本書は、この第三世代が、ネットベンチャーの本質的変化をどのようにつかみ、ネットビジネスをどこへ持っていこうとしているのかを探った一冊である。

ただ、タイトルに「次世代」とあるが、話題の中心は1976年前後生まれ―いわゆる「ナナロク世代」と言われる企業家たちのビジネスに向けられており、それほど新鮮味はない。いわば、Web2.0的ビジネスモデルの上に展開される未来像といえる。
ここで挙げられた事例も、SNSやセカンドライフなど、テレビや新聞である程度知っているので、新たに得る情報は少ない。その意味で、著者が以前書いた『グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する』程のインパクトはない。
本書は、最近耳にするがよく分からないWeb2.0の概観と、今後の展開をコンパクトにまとめたもの、と捉えればいいだろう。

著者によると、Web2.0とは、「極大化されたデータベースの海」と、「そこから的確に有用なテーマを拾い上げるための「UFOキャッチャー」アーキテクチャ」という二つの層からなり、今後のネットビジネスは、これらが進化していく方向に進むのだという。UFOキャッチャーの苦手な私からすれば、この表現は(言いたいことは分かるが)イメージしにくい。
本書は、この分かりにくい著者の造語だけでなく、カタカナ英語の多用で読みにくい。「アーキテクチャ」を「組織的構造・基本設計」と即座に理解できる人がどれだけいるのだろう。私は分からなかった。確かに「ソーシャル」は単純に「社会」という意味だけではないように、翻訳し難い部分はあるだろう。だが、英語をそのままカタカナに置き換えるだけでは理解しづらく、不親切だと思う。

本書は、『ウェブ進化論』のように刺激的な内容ではなく、『グーグル・アマゾン化する社会』のように社会問題に切り込んだものでもない。
ただ、ミクシィの独壇場といえるSNSサービスに乗り込んだヤフーの思惑や、「リアルの世界をネットのサービスが呑み込んでいくことによってリアル世界での収益を吸収していこうという手法(P.248)」についての言及は、今後のネットビジネスの姿を予感させ、興味深いものであった。[Amazon]

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