『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々2 魔海の冒険』リック・リオーダン

パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々〈2〉魔海の冒険ギリシャ神話をモチーフにしたファンタジー「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」シリーズ第2作目となる本書は、前作から一年後の物語である。
前作で神々の内乱を防いだポセイドンと人間のハーフであるパーシーは、またしても学校で怪物に襲われる。慌てて逃げ戻ったハーフ訓練所では、タレイアの松が何者かに毒を盛られ枯れかかっていた。さらに、捜索者となったサテュロスのグローバーが、助けを求めてパーシーの夢に出てくるように。
タレイアの松を復活させる魔法の道具の獲得と、囚われの身となったグローバーの救出のため、パーシーの冒険の旅が始まる。

今回は、“タイソン”という新しい仲間が加わって、物語を盛り上げている。
「パーシーたち三人…」と続く目次を見て、前作と同様、パーシー、アナベス、グローバーの三人のことかと思ったが、グローバーの代わりにタイソンが活躍する。身長190cm以上の大きい図体をしているのに、気が弱く、泣き虫。学校で皆からいじめられていたタイソンをパーシーは放っておけず、訓練所まで連れて来てしまう。このタイソンの正体が、実は驚くべきもので…。それは、読んでのお楽しみ、といっておこう。

本書も、アクション満載で一気に読ませる。何か問題が起こり、パーシーたちが冒険の旅に出て次々と現れる怪物たちと戦う、というパターンは同じ。
この作品の魅力は、神話を物語の中に巧く取り入れたところにある。ひとつひとつのエピソードがおもしろく、ギリシャ神話を知っている人なら、にやりとしてしまうだろう。古典が現代風にアレンジされ、ノリの良いファンタジーに仕上がっている。

今回は、西洋文明を破壊しようと目論むクロノス一派が力を増す一方で、パーシーを巡るある予言が明らかになり、ポセイドンからは意味深な手紙が送られてくるなど、パーシーの頭上には暗雲が垂れ込めてくる。
前作ではそれほどおもしろく思えなかったのだが、先の読めない目まぐるしい展開に、続きが気になって仕方がない。

このシリーズは、「親子愛」を真正面から描いた作品でもある。愛情を上手く伝えられない親、親の愛に飢えた子など、さまざまな親子がここには登場する。親子間の意思疎通の難しさを考えさせられる物語だ。
けれど、愛情は「ない」のではなく、確かに存在する。それが幸福な結末をもたらすことを信じて、次巻を待つこととしよう。[Amazon]

アメリカ:金原瑞人/小林みき・翻訳

The Sea of Monsters (Percy Jackson and the Olympians)
Rick Riordan
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