『漂流物』デイヴィッド・ウィーズナー
最近放送された「探偵!ナイトスクープ」で、青森県から沖縄の島に流れ着いた漂流物を巡る依頼があった。現地の人が偶然見つけた手紙を詰めたビンは、海流にのって数年かけて遠く離れた沖縄の海岸に流れ着いたのだ。そのビンの長い旅に思いをはせると、柄になくロマンチックな気分に浸ってしまった。
そんな番組を見た後に読んだからだろうか、この絵本に描かれた世界にすんなりと入っていけたのは。
ある少年が、海岸に打ち上げられた古びた水中カメラを見つける。中のフィルムを現像してもらい、出来上がった写真を見てみると・・・。
『かようびのよる』を読んで以来、すっかりデイヴィッド・ウィーズナーのファンになってしまったのだが、今回も期待を裏切られることなく、ウィーズナーの世界を堪能できる一冊だ。本書で3度目となるコールデコット賞を受賞していることも、その質の高さを証明しているといえるだろう。
この絵本は、文章は一切なく、絵だけで展開していく。まるで映画やCMの絵コンテか、漫画を見ているような構図で、ぐいぐい引き込まれてしまうのだ。
そんな迫力のある高い画力もさることながら、ウィーズナー作品の魅力は、奇想天外ともいえるストーリーのおもしろさにあると思う。
数枚のスナップ写真には、私たちの想像力をかきたてるような、驚きの世界が広がっている。一枚一枚、細部に至るまでとても丁寧に描かれていて、これだけでひとつの物語が作れそうだ。特に、顕微鏡の倍率を上げながら覗いていく後半は、見事としか言いようがない。ひとつのカメラに託された思いは、感動的である。この絵本の少年と同じように、思わず前のめりになって見入ってしまった。
カバー折り返しの部分に、「ウィーズナーがあなたに伝えたい世界とは・・・。」という紹介文があるが、そんな風に意味を考えてこの絵本を読んでしまっては、もったいないなぁと思う。
これは、一種のイリュージョンなのだ。マジックは、繰り広げられる妙技の数々に身を任せ翻弄される方が、ずっと楽しめるのではないだろうか。
「どうだい、おもしろいだろう?」というウィーズナーの声が聞こえてくるようだ。[Amazon]
Flotsam (Caldecott Medal Book)
David Wiesner




『漂流物』
絵だけで物語る、それがウィーズナーの魅力です。この絵本の概略がアマゾンに書いてあったのですが、蛇足という感じ。言葉で伝えるのではなく、絵から「感じる」楽しさ、心地よさが味わえる絵本。
海の中のさまざまな秘密を垣間見るような絵で、どんどんと流れていく物語はきっと尽きることがない、そういう感じを抱く絵本です。
逆に文章を付け足してしまうと、流れていくように味わう絵のリズム感というかが失われてしまいますよね。
説明不要、そんな絵本だと思いました。
ウィーズナー、「フリーフォール」が特に好きです。
他の本も丁寧な書評がたくさんあって、まだ読んでいない本もありますが、記事、拝見したいと思います。
コメントありがとうございます。
こういう文章のない絵本って好きです。
自分でいろいろ物語を想像できる楽しみがあるというか。
こんな絵本のレビューを書くのは、ほとほと困ってしまいます。