『クロニクル千古の闇3 魂食らい』ミシェル・ペイヴァー

魂食らい (クロニクル千古の闇 3)Outcast (Chronicles of Ancient Darkness)6巻シリーズの第3巻。
本国・イギリスでは第4巻『Outcast』が最近刊行されており、来年には第5巻「Oathbreaker」が出る予定とのこと。

さて、シリーズ三作目となる本書は、ウルフが何者かにさらわれるところから始まる。ウルフを追って極北へと向かう、主人公・トラクとワタリガラス族の少女・レン。そこで〈魂食らい〉たちの陰謀を知り、彼らと対決することになる。
たいてい三作目となると中だるみするものだが、俄然おもしろくなってきた。スリリングなストーリー展開、魅力的なキャラクターの登場、主人公たちの丁寧な心理描写など、読みどころ満載の一冊である。

まず、ストーリーだが、これまで漠然とした存在だった〈魂食らい〉たちが、はっきりとした形をもって現れる。悪霊をあやつり部族の頂点に君臨しようとする〈魂食らい〉たちを、トラクは阻止できるか。この攻防が、おもしろい。個性豊かな4人の〈魂食らい〉たちも、うまく書き分けている。
対するトラクとレンは、1巻に比べると格段に成長している。若さゆえの浅はかさはあるとはいえ、勇気と知恵で強大な敵に立ち向かっていく姿は、凛々しいものだ。前巻で明らかになったトラクの能力が、本書で活きてくる。今回は、トラク、レン、そして狼のウルフという三者の視点で語られ、それぞれの内面をじっくり描いているので、物語に深みが出ている。次第に強くなっていく彼らの絆にも、注目だ。

また本書では、氷の大地で暮らす部族・シロギツネ族が新たに登場する。イヌイットのようなものだろうか、厳しい地で生き抜く人間の生活が、臨場感をもって描かれている。クジラの骨に毛を抜いたアザラシの皮を張って皮舟を作るなど、そこで採れるものを最大限に活かす知恵に感心させられる。このシリーズは、作者の綿密な取材の上で作り出されたファンタジーだからこそ、安っぽくならず、読ませるのだ。
新たに登場するキャラクターといえば、準主役級の存在感を発揮しているシロクマが、印象的である。本書では裏表紙に、原書版では、カバー絵になっている。

続きものだから現時点で評価できないが、この調子で展開すれば、かなりおもしろいシリーズになるだろう。ひとり苦悩を抱えるトラクの運命やいかに。第4巻のカバー絵がヘビになっているところが、意味深である。[Amazon]

イギリス:さくまゆみこ・翻訳

Soul Eater (Chronicles of Ancient Darkness)
Michelle Paver
Soul Eater (Chronicles of Ancient Darkness)

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