『公式フォトブック 北極のナヌー』

公式フォトブック 北極のナヌー

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書評/サイエンス

ひゅうっと、冷たい風が吹きぬけた気がした。
ページをめくると、そこは一面の氷と海の世界。映画・「北極のナヌー」公式フォトブックの本書は、北極で生きる動物たちの姿を生き生きと写し出している。

公開を目前に控えた映画は、ホッキョクグマのナヌーと、セイウチのシーラの誕生から親になるまでの、命のサイクルを追ったドキュメンタリーである。本書はその内容に沿って構成されており、大迫力の写真で彼らの生態を垣間見ることができる。
両者に光を当てているのは、共に子育て熱心な動物だからだ。過酷な極北の地では、強く賢いものしか生き残れない。その知恵が、何世代もわたって親から子へと受け継がれているのだ。ホッキョクグマは単独で、セイウチは群れで生まれた子どもを育てる。母親が子どもを抱きかかえて海に入るセイウチの姿は、感動的だ。

ところが今、このナヌーやシーラたちの命が脅かされているという。
地球温暖化によって、彼らの生活の場である氷が年々小さくなっているのだ。このままのペースで温暖化が進むと、30年後には北極がなくなるというから驚く。最近になってようやくアメリカは、「2050年までに温暖化ガスを半減する」との目標を軸に検討する方針を表明したが、その前に北極が消滅するかもしれない。
この「北極のナヌー」は、深刻な温暖化の現状を、北極にある「命」を通して分かりやすく伝えている。

ただ、そんなことは今さら言われなくとも、皆分かっているのではないか。
大型台風、暖冬、猛暑…。世界各地で起きる異常気象に、温暖化の脅威を実感しているのではないか。
もはや必要なのは、現状を知るだけではなく、対策を講じていくことなのだと思う。映画がどうまとめられているのかは知らないが、本書は問題提起だけで、何が温暖化の原因で、「どうすればいいのか」という解決策を提示せず終わっている。
本書を読んで、「一刻も早く温暖化を食い止めなければいけない」という危機意識が芽生えるものの、具体的に何をすればいいか分からなくて立ちすくんでしまう。エコバック、冷房28℃設定、公共交通機関や自転車の利用など、私としては「環境に優しい(であろう)」ことを実践しているが、大国がせっせと二酸化炭素を排出している現状を見ると、個人の努力なんてむなしく思う時がある。
大自然の美しさや動物たちの可愛さにのんきに浸ることもできず、かといって何から手をつければいいのかも分からない。このフォトブックを読んで、そんな居心地の悪さを感じてしまった。

数少なくなった氷の上で、窮屈そうに身を寄せ合うセイウチたちのために、私は何ができるのだろう?

北極のナヌー 公式HP

本書は、本が好き!経由で献本していただきました。

  1. 北極のナヌー

    地球温暖化の影響で氷が解け始めている北極。春、雪と氷で覆われた穴から白クマの赤ちゃん、メスのナヌーと弟が母グマと顔を出した。彼らはエサを求めて旅に出て海に向かい、氷の下にいるアザラシを狙う。ナヌーも母グマからその技術を学ぶがなかなかうまくいかない。地球…

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