『ウラナリ、さよなら』板橋雅弘
ウラナリシリーズ最終巻。
このシリーズを最初に読んだときは、こんな結末になるとは思いもしなかった。青春全開のヤングアダルト小説、と感じていたのだから。
前作と同じく本書でも、第一章で結末が明かされる。だから、予想外の展開に驚くことはなく、ハヤブサとサクラの高校一年生の秋から冬にかけての日々をしみじみと振り返っていく。これで二人を見るのはもう最後なんだな、と思うと感慨深いものがある。
サクラは再検査を受けることになり、不動の守護神・アサカゼの身には災難が降りかかり、イズモはなぜか浮き足立っている。これまで共に歩んできた仲間は、それぞれ変化の時を迎える。そして、ウラナリ扱いされていたハヤブサもまた。
男の子って、これまで子どもだと思っていたのに、ある日突然たくましくなるから不思議だ。衝撃の出会いからさんざんサクラに振り回されっぱなしだったハヤブサは、心も体もひとまわり大きくなった。「ウラナリなんだから」というサクラの言葉には、以前のような馬鹿にした響きはなく、ハヤブサがどんどん先へ進もうとすることへの寂しさが込められている。
最後にハヤブサの思いは届くのか?二人の進む先には何が待ち受けているのか?
「人生、何が起きるかわからない。」というアサカゼの言葉が、本書を物語っている。二人に用意された結末は、あまりに陳腐で少し不満が残るが、多分どんなラストでも満足できないのだろうな、と思う。
始まりがあれば、終わりがある。
当たり前のことだけど、やっぱり別れは寂しいものだ。タイトルの「さよなら」は、読者に向けられたものなのかもしれない。
十代の悩みや葛藤、友情、恋愛、家族の形といったものを真正面から描いたこの「ウラナリ」シリーズは、良質のヤングアダルト作品である。今まさに青春まっさかりの十代はもちろん、かつて子どもだった大人たちも手に取ってみてほしい。[Amazon]



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