『ミッドナイターズ1 真夜中に生まれし者』スコット・ウエスターフェルド

ミッドナイターズ 1  真夜中に生まれし者真夜中12時。
それは、秘密の時間。世の中のすべてのものが凍りつく時間。ミッドナイターと闇の生き物だけが活動する時間。

う~ん、なんだかなぁ。
新しいタイプのSFファンタジーといえるのか、それともいかにもアメリカ的なストーリーといえるのか。
「青い時間(ブルータイム)」と呼ばれる真夜中の一時間に入ることを許された5人の高校生は、それぞれ特殊能力を身につけている。特殊な力を持って特別な時間を体験できる、という設定だけみると、この作品はメルヘンで牧歌的な物語にもなっただろう。空中に浮かぶ雨粒が、ダイヤモンドのようにきらきら輝いている場面なんて、はっとするほど美しい。
しかし、ここに闇の生き物・ダークリングやスリザーが登場すると、ぐっとクールで危うい雰囲気を帯びる。本書では、古代から延々と続いてきた闇の生き物と人間との戦いが、物語の核となっている。

舞台は真夜中、登場人物が高校生ということもあって、児童書(ヤングアダルトのジャンルだろう)にしては大人びているし、なにより、格好いい。その意味では、新しいタイプといえなくもない。
ただ、一般文芸書や映画やドラマなどに目を向けてみると、この手の作品はよくある。児童書版『X-MEN』といえば、イメージしやすいだろうか。主人公たちの学生生活や恋愛模様は、『ビバリーヒルズ高校白書』のようなノリである。
児童ファンタジーが次々映画化されることに抵抗はあるが、本書は映像が頭に浮かんでくるような、スピード感のある描写なので、本を読むより映画で観る方がおもしろいと思う。

第1巻である本書では、転校生のジェシカの隠れた能力がやっと分かるところまで描かれている。現在、第2巻『ダークリングの謎』、本国アメリカでは第3巻『Blue Noon』まで刊行されている。
続きものなので今の段階で評価しにくいが、この作品が単に、「野性の生き物対テクノロジー」の戦いになってしまうと、底が浅くてつまらない。今後の展開にも危うさを抱えた作品である。[Amazon]

アメリカ:金原瑞人/大谷真弓・翻訳

The Secret Hour (Midnighters)
Scott Westerfeld
The Secret Hour (Midnighters)

Midnighters 公式HP
原作同様、クールなサイト。13文字の英語の一覧がすごいです。これを見ておけば、ダークリングと遭遇した時、役に立つかも?

  1. コメントはまだありません。

  1. トラックバックはまだありません。