『ファーストマン ニール・アームスロングの人生(上・下)』ジェイムズ・R・ハンセン
- 日暮 雅通、水谷 淳
- ソフトバンククリエイティブ
- 2499円
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書評/ルポルタージュ
本が好き!プロジェクト経由で献本していただいたものの、どうにも気分が乗らず、読みかけたまま放置すること数ヶ月・・・。そんな時、エンデバー打ち上げのニュースが私の目を引いた。「今だ!土井さんが宇宙にいるこの時を逃していつ読む!」と人知れずモチベーションをあげて、読書を再開。
こう書くと、嫌々読むほどつまらない本なのかと思われそうだが、読んでみると刺激的な内容で、なかなかおもしろかった。
『ファーストマン ニール・アームストロングの人生』は、アポロ11号の船長を務め、人類初の月面着陸に成功した宇宙飛行士・ニール・アームストロングの公認伝記である。この「公認」というところに、万感の思いが込められている。
ポルノグラフィティの歌詞ではないが、私はリアルタイムで打ち上げを観た世代ではないので、アポロ11号に思い入れはなく、ましてアームストロングが「人間嫌い」と揶揄されていたことも知らなかった。個別のインタビューを受けず、積極的に人前に出て行こうとしなかった彼が、今回ゴーサインを出したのは極めて異例のことなのだという。
得てして自伝や伝記といったものは、その人物を実際より大きく、立派に描きがちだ。だが、厖大な資料と本人を含めた関係者の取材をもとに執筆された本書は、少し様子が違う。ここでは逆に、英雄に祭り上げられ偶像化されてしまったアームストロングを、等身大の人間に戻そうと試みているのである。
本書は、上下巻あわせて1000ページ近くのボリュームである。なにしろ、彼の先祖から遡って筆を進めているのだから。アームストロングの性格そのままに、筆者は外堀(関係者の証言)を埋めながら、ねばり強く彼の姿を追っていく。
アポロ11号の華々しい活躍場面を期待していた人は、このペースにやきもきするかもしれない。けれど、青年期やテストパイロット時代を描いた上巻は、アームストロングという人物を知るためには欠かせないのだ。
とはいえ、やはりおもしろいのは、打ち上げに至るまでの裏事情や、宇宙での様子、帰還後が描かれた下巻である。なかでも、月面着陸の瞬間は臨場感あふれる描写で、当時の人たちと同じように固唾を呑んで見守ってしまった。
頻繁に出てくる専門用語には辟易したが、真摯に仕事に取り組む姿勢や、周囲の無理解に追いつめられるアームストロングの人生には、ぐっとくるものがある。
「月に最初に踏み出した男、ファーストマン」は、その名誉な響きと引き換えに、多くの犠牲を払った孤独な男でもあった。
「時が熟した」と、重い口を開いたファーストマンの真の姿に迫った労作である。[Amazon]
First Man: The Life of Neil A. Armstrong
James R. Hansen


ファーストマン(上)

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