『そのブログ!「法律違反」です 知らなかったではすまない知的財産権のルール』
手に取ってもらいやすいタイトルにしたのだろうが、ブログ絡みの法律問題は一章を割いているだけで、全体をとおしてみれば、知的財産権全般の入門書といった方が正しい。
「インターネット社会において、必要最低限知っておくべき『交通ルール』としての法解釈を、Q&A方式でコンパクトにまとめた一冊」との紹介文は、うまい表現だなぁ、と変なところで感心してしまった。まさに、この言葉どおりの内容なのだ。
本書は、マル・バツ・サンカクで違法性の有無を判定していく、じつにシンプルな一冊である。
ここではごく一般的な論点を取り上げているので、ある程度知財をかじった人なら、さらっと一読すれば充分である。逆に、ネット利用者がここに載っている程度のことを知らないようでは問題なのではないだろうか。
ネットサーフィンをしていると、著作権侵害が疑わしいブログがいくつも見られる。よくあるのが、芸能人の写真を載せているパターン。これは本書の最初に解説してあるが、原則NGである。他人の写真を無断でネット配信することは肖像権の侵害、著名人であればパブリシティ権の侵害、さらに雑誌やサイトに掲載された写真をそのまま貼り付けると著作権侵害にあたる。
本書はほかにも、よくある知的財産権の疑問を、個人レベルとビジネスレベルで端的に解説している。第四章では、ビジネスにおけるさまざまな事例が紹介されているが、要は「知的財産権を持つだけでなく、活用しろ」のひと言に尽きる。その、どう活用していくか、というところに筆が及んでいないのが、本書の限界だろう。あくまで、一般的なレベルに留めた手引き本なのだ。何気ない行為でも権利侵害になっているケースが少なくないので、読んでおいて損はない一冊。
ただ、既存の入門書と大差ない内容を敢えて世に出す必要性があったのか、甚だ疑問である。
また、知的財産権全般に手を伸ばしたためにかえってぼやけてしまって、タイトルにつられた個人ブロガーは肩すかしを食らう。これなら、ネットにおける問題に絞った方が、まだよかったのではないか。SNS、セカンドライフ、YouTubeといった話題に触れているものの、さほど目新しさはなく、現実の変化のスピードに追いついていない印象を受けた。
コンパクトで読みやすいとはいえ、本書の立ち位置が中途半端なのが残念である。[Amazon]



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