これでいいのか、大学生

全国の書店員が選ぶ「本屋大賞」は着々と回を重ね、いまや売り上げを左右するほどの影響力をもつようになっている。
時代は、作家や評論家といったプロの書き手側から発信されるものより、“読者”という同じ目線に立った人の親しみやすい意見を求めているのかもしれない。
そして新たに、「大学読書人大賞」なるものが創設されたのだという。
これは、大学の文芸サークルに所属する学生が、「大学生に最も読んでほしい本」を選び出すというもの。フランスの「高校生ゴンクール賞」の大学生版といったところだろうか。さっそく、ホームページに掲載されている候補作品を見てみた。
有川浩 『塩の街』
田中ロミオ 『人類は衰退しました』
桜庭一樹 『青年のための読書クラブ』
佐藤友哉 『1000の小説とバックベアード』
A・C・クラーク 『幼年期の終わり』
選ばれた上位5作品以下の作品も一覧で載っているのだが、ほとんどが小説で、その小説のうち国内作家が大半を占め、中でもライトノベルの割合が高いのが特徴的。対象作品は、昨年11月までの一年間に日本国内で発刊された本となっているから、いまの出版界を映し出したラインナップいるといえるだろう。
それでも。
改めて確認するけど、「大学生に読んでほしい本」だよね?
候補作品がSFに偏っているのはともかく、本当にこんなものでいいのだろうか。
なにもラノベが悪いというわけではない。私も好きだし、心を打つ作品がたくさんあるのは知っている。
しかし、最高学府で学ぶ人間が読むにしては、どうも軟弱過ぎる気がしてならない。次回は、携帯小説も候補に挙げられるのだろうか。法律、経済、歴史(『哲学の歴史』ならあるが)といったジャンルの作品が見当たらないのは(見落としていたらごめんなさい)、講義以外でそんな硬い本、読みたくもないということなのか。
大学生たる者、なんて考え方は私の頭が固くなっただけなのかもしれないが、このラインナップを見て、暗澹たる思いに駆られてしまった。
当の学生は、どう思っているのだろう。
大賞作品は、5月4日の公開討論によって決定するそうだ。



こんな試みがあるのを初めて知りました。
僕は一応理系大学院生なのですが、実感としてはこんなものだと思います。
ただ一応文芸サークルの人が選んだのだったら、もうすこしべつのものになってほしかったとは思います。
(一般の大学生が選んだのだったら、佐藤友哉やクラークなどは入ってくるわけがないとは思いますけれど)
本当にみんなライトノベルが大好きなんですね。
もちろんこれはかなり局所的なアンケートだと思うので(参加サークルがいくらなんでも少なすぎます)、これをもって今の大学生の読書傾向がわかるとは言いきれませんが、なんだかすごくリアルなランキングだと思いました。
う~~~む。
「アメリカにいる、きみ」を選ばずにSFを選んじゃうあたりはリアルな世界に対する感覚が鈍すぎではないでしょうか。
それにしても、HPの選定方法を見ると、推薦文に投票するんだそうで…
そんなんで本を選べるのか疑問です。ストーリーが要約できない抽象的な内容の本は圧倒的に不利になるし…
こういうのを見ていると、結局は個人的に選んだ本を押し付けたほうが質のいい作品が揃いそうな気がします。
「池澤夏樹の世界文学全集」みたいな、ね。
これは色々な意味で面白い賞ですね。
この1年で刊行された本が対象のようですけど、クラークは新訳が出たとはいえ、ちょっとずるいというかつまらないというか。いや、作品自体は良いんですが。
自分はかなり学年が高めの院生なんですが、大学生が選ぶとなると、普通に伊坂幸太郎とか森見登美彦なんかが選ばれそうだと思うんですけどね。実際に結構読書をしている大学生が選ぶ本となると結果は本屋大賞と変わらなくなる気がするわけで、本屋大賞との意図的な差別化がはかられているんだろうなというような印象を受けました。
投票リストを見てみると、ドラマのノベライズなんかも混ざっているみたいですし、ちょっと不思議な賞ですね。piaaさんもおっしゃっていますが、この賞の選考方法を見ると、もはや「推薦文大賞」な気が・・・。
現役生のご意見、ありがとうございます。
はじまったばかりだから、まだ認知度は低いんですね。
それにしても、実感としてはこんなものなんですか~。
この賞の今後が気になりますが、ひとつの意識調査として使えるかもしれませんね。
>ただ一応文芸サークルの人が選んだのだったら、もうすこしべつのものになってほしかったとは思います。
そこがわたしも引っかかるんですよね。
たくさん本を読んでいるであろう人たちが選んだにしては、偏っているというか、貧弱というか…。
いっそのこと、文芸部員以外にも門戸を広げた方がおもしろいんじゃないか、と思います。
う~ん、でもそうするとベストセラー本ばかりが並びそう。
熱烈なSFファンでもいるんでしょうか。
それとも、参加した文芸部員にとっては、近未来の方が実際の世界よりも“現実的”なんでしょうか。
この一覧を見て、『アメリカにいる、きみ』がランキング入りしているだけで、ほっとしてしまいました。
推薦文をざっと読んだのですが、どうやら「共感できる」ということが評価のポイントになっている気がします。
設定が奇抜でも、いまの自分と重ねあわせられる作品が支持されているのかもしれません。
「大学生に読んでほしい本」ではなく、「あまり読書をしない大学生に読んでほしい本」だったらすっきりするのですが。
本を読む学生は、こんな賞がなくても淡々と読んでいると思いますし。
>クラークは新訳が出たとはいえ、ちょっとずるいというかつまらないというか。
わかります、その気持ち。
わたしは、司馬遼太郎の『燃えよ剣』に、同じようなことを思いました。
改版オッケーとは。
実行委員長のコメントによれば、「既存の文学賞では選べないような本をすくいあげたい」とのことなので、いろいろ苦心しているんでしょうね。
推薦文の出来の良さと、(公開討論によって決定するみたいなので)推薦人が弁の立つかどうかで決まる気がします。
作品の質はともかく、「推薦文大賞」としてみたら、おもしろいのかも。
でもそれなら、もっとマニアックな本を選んでもいいのに、と思います。
大学生の実感としては、みんなドストエフスキーも村上春樹もよしもとばななも知らないです。いえ、アンケートをとったわけではないのですけれど、みんなあんがい知らないのです。
普通の大学生に選ばせたら、むしろ山田悠介とかが入ってくると思います……。
僕はそれよりも2007年に絞るんじゃなくて、歴代の小説から選んでほしかったです(毎年やるつもりでしょうから、それは無理な話でしょうけれど)。
今月発売の「考える人」という雑誌に、アメリカのラドクリフ大学の出版コースの学生100人が選んだ「20世紀の英語小説ベスト100」が公開されています。参考までに。
1 フィツジェラルド「グレート・ギャツビー」
2 サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」
3 スタインベック「怒りの葡萄」
4 リー「アラバマ物語」
5 ウォーカー「カラーパープル」
6 ジョイス「ユリシーズ」
7 モリスン「ピラウド」
8 ゴールディング「蝿の王」
9 オーウェル「1984年」
10 フォークナー「響きと怒り」
以下、ナボコフ、スタインベックと続き、下位にも、
ヘミングウェイ、ヴォネガット、ケルアック、ウルフ、アーヴィング、トールキン、バージェス、カポーティ、フォースターなどなど、知らない作家も多いのですけれど、基本的には惚れ惚れするラインナップ。
1,2位が大学生っぽくて非常に好感が持てます。
みんな「ユリシーズ」や「フィネガンズ・ウェイク」を読んでいるなんて、びっくりします。
同雑誌で、青山南(翻訳家)が「文学から見栄を除いたら何もない」と発言していて、「そうだよなあ」などとちょっと思うわけです。
ぐらさん、こんにちは。
これは面白そう♪っと思ったのですが、確かに「う~ん」なラインナップかも…。
私もラノベ読む人間ですが、少なくとも『読書人』が『大学生に読んでほしい本』であげる本ではない気がしますね。
わたしも、1年間の新刊に絞る必要があるのか疑問です。
毎年実施していくから、となっていますが、それなら既存の賞と大差ない気がします。
なんとなく、出版社側の思惑にのせられているような・・・。
ランキング好きは日本人の専売特許かと思っていたんですが、アメリカでもこんなものがあるんですね。
英語小説ってところが、傲慢さと紙一重の誇らしさみたいなものを感じますが(たんなるわたしの偏見です)。
これは出版コースの学生を対象にしているので、一般の学生より本を読んでいるんでしょうけど、未読の作品(作家)が多くてちょっと焦ってしまいました。
個人的には、ヘミングウェイが10位以内に入っていないのが意外です。
「文学から見栄を除いたら何もない」なんて、ドキッとさせられますね。
高校生のときなんて、文豪の作品を読んだというだけで酔ってるところ、ありましたから。
これは難解の部類には入らないのかもしれませんが、『レ・ミゼラブル』なんて、ほとんど忍耐力で読み通してました(とくにパリの下水事情のところ)。
こんばんは。
体調はいかがですか?
「本屋大賞」なら、書店員さんたちの熱い思いはもちろんですが、本を売るという目的があると思うんですよね。
でも、選考システムや候補作をみていると、この「大学読書人大賞」のねらいは、いまいち掴めないというか・・・。
外からあれこれ批判するのは簡単なんでしょうけど、どれが大賞になっても「なんだかなぁ」という感じです。
それにしても、ラノベ人気、おそるべし!