『白いキリンを追って』ローレン・セントジョン
この人が訳した作品なら・・・と、翻訳家で本を選ぶことがある。
とくにヤングアダルト文学では、代田亜香子とさくまゆみこ翻訳作品を好んで追いかけている。
「クロニクル千古の闇」シリーズで有名なさくまゆみこさんは、アフリカを舞台にした作品を多く紹介されている翻訳家。資源エネルギー問題が絡んでいることもあるが、近年、アフリカへの世界のまなざしが熱い。ただ、注目度の割にはアフリカの実態が伝わってこないのが現状だろう。
「アフリカ」とひとくくりにしがちだが、その中にはケニアがあり、ナイジェリアがあり、ガーナがあり、他にもたくさんの国々が存在する。そこで暮らす人々はどんな景色を眺め、なにを考え、どのような問題を抱えているのだろうか。小説は、アフリカを知るための、ひとつの入り口になってくれるのではないだろうか。
物語の舞台は、南アフリカ。
イギリス育ちの11歳の少女・マーティーンは、両親の死がきっかけで、一度も会ったことのない祖母に引き取られることに。祖母は南アフリカの鳥獣保護区で、野生動物の保護・調査を行っていたのだ。悲嘆にくれ、慣れない環境に戸惑っていたマーティーンはある日、一頭の白いキリンと出会う。地元の人たちの間では、「白いキリンに乗ることのできる子どもは、すべての動物に対して力を持つ」という伝説が信じられていて・・・。
本書は現代の南アフリカを舞台にしたファンタジーである。
南アといえば、あの悪名高いアパルトヘイト政策が思い浮かぶが、物語は撤廃後の政情ではなく、鳥獣保護区での暮らしや、マーティーンに隠された不思議な能力を中心に展開していく。
作者のローレン・セントジョンは、ジンバブエの農場で生まれ育っただけに、自然や動物たちの姿を生き生きと描き出している。このリアリティーある描写があるからこそ、白いキリンと子どもの伝説が活きてくるのだ。
ラストシーンもいいが、白眉は、マーティーンがキリンの背中に乗って夜のサバンナを駆け抜ける場面である。漆黒の闇に浮かび上がる大きな白いシルエットは、はっとするほど美しい。
あとがきによれば本書は、少女マーティーンがアフリカを舞台にして活躍する冒険物語シリーズ第1作目とのこと。続いて、『Dolphin Song(イルカの歌)』、『The Last Leopard(最後のヒョウ)』と刊行されている。宙に浮いたままの謎や、同級生・ベンの描写不足、単純なストーリー展開などに不満が残るが、2・3作目へと繋がっていくのだろうか。動物好きにオススメの一冊である。[Amazon]
イギリス:さくまゆみこ・翻訳
The White Giraffe
Lauren St. John




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