『マンスフィールド短編集』キャサリン・マンスフィールド
「園遊会」しか読んだことのなかったマンスフィールド。
「園遊会」以外の作品も素晴らしかったマンスフィールド。
本書は、15の作品が収められた短編集である。マンスフィールドの短編集としては他に、岩波文庫とちくま文庫から出ているが、私はリニューアルされた新潮文庫版を選んだ。収録作品が違うので、読み比べてみるのもいいかもしれない。
いかにも女性らしい小説である。繊細でしなやか。歌うような軽やかな文体が心地よい。
十代の頃の男女というのは、精神年齢に少なくとも3歳は開きがあると思う(この数字に根拠はないが)。本書は、早熟な女性の書いた、ディテールの妙を味わえる一冊である。女性の心理を知りたいなら、この作品集を読むべし。下手なハウツー本よりよほどためになる。
例えば、「若い娘」や「初めての舞踏会」。
わずか十数ページの中で、少女と大人の女性の間で揺れ動く娘の繊細な胸の内を、マンスフィールドは鮮やかに掬い取ってみせる。おそらくそれは、本人ですら気づいていないような感情の変化だ。そういう意味で、女性が読んでも新鮮だと思う。
物語はとりたてて何かが起きるわけではない。けれど、淡々と続く日常の一場面にこそ、キラリと光るドラマが潜んでいるのである。
反対に、老女の人生を走馬灯のように映し、寂寥感をしみじみと描き出す「パーカーおばあさんの人生」という一篇がある。
私はこの作品を読んで、イーユン・リーの「あまりもの」(『千年の祈り』所収)を思い出した。題材といい雰囲気といい、とてもよく似ている。リーもマンスフィールドを愛読していたのだろうか。両方読んだ人の感想を聞いてみたいものである。
ところで、「The Garden Party」を「園遊会」と最初に訳したのは誰なのだろう。最初にこのタイトルで読んでしまうと、「ガーデン・パーティー」ではどうもピンとこなくなるほどの鮮烈さである。
もうひとつ翻訳に関していえば、「At the Bay」を 「湾の一日」と訳しているのがおもしろい。たしか別の翻訳では、「入江にて」となっていた。物語を読み終えた後、改めてこのタイトルを見ると、ひときわ感慨深いものがある。
生と死、光と影を対比させるのではなく、さながらパレットで混ぜ合わせたように複雑な色合いを放つ作品群。その中で私はこの「湾の一日」が印象的だった。いつまでも余韻の残る、味わい深い一篇である。[Amazon]
イギリス:安藤一郎・翻訳



ぐらさん、こんにちは。
しばらくお見かけしないかと思っていたら、すごい勢いじゃぁないですか、相変わらず。
一体どんな速さで読めるのですか。うらやましいったらありません。
私は、師走ですから、走るふうたんかあちゃんいつもよりよけいに走っております。
でも、宮部みゆきの「おそろし」は読みましたよ♪
やっぱり、宮部みゆきさんのおどろおどろの時代物は、面白いですね。
>ふうたんさん
こんばんは。
わたしの読書量はストレスに比例しているので、
いまの状態は健全じゃありません、たぶん。
12月ってあっという間に終わってしまいますよね・・・。
心残りのないよう、頑張りましょう!
こんばんは。
「園遊会」は、読んだ直後よりも、むしろ知人に話の内容を説明したときに、「あ、すごい」と思った作品です。
少女の心の目覚めの描き方の美しさはぴかいちですね。「初めての舞踏会」「湾の一日」も好きです。
「男女の精神年齢は3歳差」、そういえばどこかで聞いた気がします。保健体育?うーむ。
20代になっても、ある程度有効な命題だと、個人的には思いますが。笑
>ふくろう男さんへ
話の内容を説明ですか。
いま考えてみたんですけど、それ、けっこう難しいですね。
「男女の精神年齢は3歳差」、どこで聞いたのか忘れてしまいましたが、
このフレーズだけは頭に残ってます。
中学のときなんて、女子がコイバナで盛り上がっているときに男子はアニメの話してましたから。
20代まで言ってしまうのは、さすがに気が引けて・・・。