『アフリカ農場物語(上・下)』オリーヴ・シュライナー

偉大な文学作品は、人生の真理を突いているものである。そうでなければ、文化や時代を超えて読み手の心を打つことはないだろう。
『アフリカ農場物語』は、南アフリカのある農場を舞台に人間と自然の営みを描きながら、「いかに生きるべきか」ということを真摯に問うた作品である。
乾燥した赤茶けた大地(カルー)、点在する小山(コピ)、低木の茂み(ブッシュ)。石の間からあちらこちらに顔を覗かせる草や多肉植物。オリーヴ・シュライナーは、南アフリカの美しい自然に育まれながら思索にふけっていたのだろうか。
作中印象的なのが、苦悩する人間を悠然と見下ろす星空を映した場面。
広大な宇宙と子どもとのコントラストは、一幅の絵画のよう。と同時にここでは、ちっぽけに見える人間の内部に広がる深淵な世界をも描き出しているのが素晴らしい。人間を深く見つめた作品に触れると、悩みに汲々としていた自身の生き方を省みてしまう。
救いは内からくるものであって、神からでもなければ人からでもない。それは、苦しみ、時間をかけた結果、魂そのものがつくりだすものだ。(下巻P.237)
とは、作中の言葉。
『アフリカ農場物語』は、宗教色・フェミニズム色の強い小説である。
というより、ストーリーは細切れでさほどおもしろいものではないし、人物造形も平面的で行動や感情の説得力に欠けるため、小説というより思想書・啓蒙書といった方がしっくりくる。物語然とした小説を読みたい人には、ピンとこないかもしれない。
ただ、この作品が19世紀に白人女性によって書かれた、ということに驚く。
ときは植民地支配の時代。女性の地位も低いものだった。そんな中で、利他主義や人類愛、自由と平等、女性の自立を高らかに謳った本作は、21世紀の今なお色あせない文学作品である。とりわけ、リンダルとウォルドー、男女の同志愛(恋愛ではなく)は、なかなかに先進的な描き方だと思う。[Amazon]
南アフリカ:大井真理子/都築忠七・翻訳
monologue
今回から、800字程度(長くても1200字まで)の短い書評を心がけていこうと思います。
長文は、書くのも読むのも疲れます。液晶画面だと特に。
書評に書き切れなかったものは、こうやって補足していくことにしました(文字制限意味ない!という突っ込みは置いといて)。この作品に関しては、ハチャメチャな展開がおもしろいです(男性が女装して好きな女性の看病をする、という発想がすごい)。「なんじゃこりゃ~」と面食らう読者はけっこう多いんじゃないでしょうか。



ぐらさん、こんにちは。
今年もたくさん本を紹介してくださってありがとうございました。
自分では、手をださないようなジャンルの本も、ぐらさんのおかげで
興味を持つきっかけになりました。
お体をくずされないよう、お気をつけ下さいませ。
来年もよい年になりますようにお祈りしております。
>ふうたんさん
こんにちは。
今日で2008年も終わりですねー。早いなぁ・・・。
ふうたんさんは、文字通り“駆け抜けた”一年だったのではないでしょうか。
来年も、あたたかい家族愛で和ませてくださいね。
よいお年を!