『肩胛骨は翼のなごり』デイヴィッド・アーモンド
- デイヴィッドアーモンド
- 東京創元社
- 735円
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書評
今クールのドラマの中で、「歌のおにいさん」はピカイチだと思う。
ひょんなことから子ども向け音楽番組の出演者になってしまった主人公をコメディタッチで描いた作品なのだが、深夜枠に収めておくのが惜しいほどのおもしろさである。今後の展開次第とはいえ、密かに傑作なんじゃないかと思っている。
さて劇中で、片瀬那奈演じる〈歌のおねえさん〉が、視聴者の子どもから「幸せってなんですか?」という質問のハガキをもらって悩むシーンがあった。
うーん、幸せってなんだろう。
とても大切なことなのに、普段はおざなりになっているような気がする。
もちろん、幸せの定義は人ぞれぞれだろう。チョコと淹れたてのコーヒーがあればいつでも至福のとき、という私にそんな哲学的な問いは荷が重いが、少なくとも、デイヴィッド・アーモンドのようにものごとを見ることができたら、優しくあたたかな気持ちにはなれると思う。
個人的には、生と死、夢と現実、光と闇の境界線が曖昧な世界観、繊細な心理描写といったアーモンド作品の魅力を余すところなく堪能できる『闇の底のシルキー』が最高傑作だと思っているが、本書もやはり素晴らしい小説である。
それにしても、『肩胛骨は翼のなごり』の文庫化には感慨深いものがある。
これを機にアーモンド作品に触れる人は増えるだろうし、同じく創元社から出ている『闇の底のシルキー』の文庫化にも期待が高まる。アーモンド・ファンの数に比例して邦訳が進めば、もっと嬉しい。
そんな訳で、文庫化自体は非常に喜ばしいことだ。ただ一点、大いに不満が。
なぜ単行本の表紙をそのまま使ったのだろう?
以前私が単行本を読んだとき、最も違和感を覚えたのがカバーに使われている人形の写真だった。これほど表紙と内容が合わない本も珍しいのではないか。この作品は何度も読んだが、どうしても人形とイメージが結びつかない。むしろ、表紙につられて買った人が肩透かしを食らい、逆に表紙で敬遠した人は損をしてしまう、という意味では、弊害の方が大きいように思う。
せっかく文庫化されたのに。命の輝きにあふれた作品なのに。ああ、もったいない。[Amazon]
イギリス:山田順子・翻訳
Skellig
David Almond

※本書は、本が好き!経由で献本していただきました。

肩胛骨は翼のなごり

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