『おかしな二人』ニール・サイモン

ニール・サイモン〈1〉おかしな二人 (ハヤカワ演劇文庫)ブロードウェイの喜劇王、ニール・サイモン。
名前はあまりにも有名なのに、作品を読むのは初めて。
いやあ、おもしろかった。抱腹絶倒とまではいかないけれど、随所でクスリと笑える戯曲である。

若い世代を中心に、ルームシェアやシェアハウスなる居住スタイルが浸透しているとはいえ、やはり他人と一緒に暮らすというのはたとえ気の合う仲間でも難しい。どうしたって自分のエゴが出てしまう。
では、まったく異なる性格の人間だとしたらどうだろう?
ずぼらなオスカーと、潔癖症のフィリック。そろって妻に愛想を尽かされた二人の中年男性が、奇妙な同居生活を始めたために生じた軋轢を描いたのが本書である。

この作品の妙味はなんといっても二人の男の対比にあるのだが、オスカーのポーカー仲間である4人の男たちの人物造形もしっかり造り込まれているのが素晴らしい。同じように自堕落にポーカーに興じているようでも、微妙に温度差のある男たち。ひとりひとりの性格の違いを、作者は会話の中にさらりと描き出す。
さらに、テンポよく繰り出される会話の応酬だけでなく、舞台の移り変わりや登場人物の些細な動作にも注目だ。ト書きに笑ってしまったのは、もしかしたら初めてかもしれない。実際舞台で観たらもっとおもしろいと思う。

それにしても、これを喜劇というのなら、この世界では一体どれだけの喜劇が日々演じられているのだろうか。
当人が真剣であればあるほど、周りには滑稽に映るもの。妻に逃げられて意気消沈するフィリックを心配する仲間たちのドタバタ劇や、オスカーとフィリックの対決(?)を楽しみながら、(自分自身を含めて)人間というものの可笑しさをしみじみ噛み締めてしまうのである。[Amazon]

アメリカ:酒井洋子・翻訳

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