『サイモン・アークの事件簿1』エドワード・D・ホック
- エドワード・D.ホック
- 東京創元社
- 1029円
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書評
オカルトとミステリを融合したような一冊。
世の中には科学で解明されていないことの方が多いというのに、ホラーや怪奇現象といったものは、私をひどく不安にさせる。おとぎ話に出てくるいたずら好きの妖精や心優しい巨人なら大歓迎だが、黒魔術やラップ音は勘弁願いたい。
そんな小心者なのでおそるおそる読み始めたのだが、これは予想以上におもしろかった。
崖から一斉に飛び降りた73人の村人たち。指一本触れずに少女を殺す男。洗車場に入ったまま出てこなかった車。黒魔術で人を呪い殺す集団。
摩訶不思議な超常現象を題材にしつつも、中身はきわめて論理的に展開する本格ミステリである。少し前に放送されていたドラマ『キイナ 不可能犯罪捜査官』は、別に斬新なアイデアという訳でもなかったのか。この短篇集を前にしては、不気味な怖さよりも、謎を解き明かしたい好奇心の方が勝ってしまう。
どれも30ページほどで鮮やかに完結する、全10篇。
エドワード・D・ホックの作品を初めて読むが、短篇ミステリの第一人者と称されるのも納得の作品群である。手品のタネというのは、拍子抜けするぐらい単純なもの。それと同じように、ここで使われるトリックも、分かってしまえば「なんでこんな簡単なことが見抜けなかったんだ!」とびっくりしてしまう。
さまざまな怪奇事件が起こる中で、「狼男を撃った男」が最も意外性があっておもしろかった。なにより不思議で恐ろしいものは、人間の心の中に棲んでいるのかもしれない。
さて、この作品集を語る上で忘れてはならないのは、主役にして探偵役のサイモン・アークの存在である。
本書から得られた情報をまとめると、「自称二千歳のコプト教僧侶で、悪魔を捜すために世界中をさまよい、本の印税で生計を立てる理知的なオカルト探偵」ということになる。ふつう、これだけ長く生きていたら虚無的になりそうなものなのに、常に好奇心旺盛で活発に動き回っているのがすごい。もっといえば、彼と自然に接している語り手の〈わたし〉もすごい。
怪奇現象よりも、研究対象としては遥かに興味深い謎の男・サイモン・アーク。「わたしはただの人間ですよ」という自己紹介が、これほど怪しく聞こえるのも珍しい。[Amazon]
アメリカ:木村二郎・翻訳
※本書は、本が好き!経由で献本していただきました。

サイモン・アークの事件簿 1

こんにちは
はじめまして、私の読んでいるジャンルが違うこともあって、はじめて目にする本もたくさんあり勉強になります。
リンクを張らせていただきたくお願いします。<(_ _)>
>緋色悠依さん
コメント・リンク、ありがとうございます。
歴史モノを紹介したサイトって少ないので、かなり嬉しいです。
(とくに、三国志や保科正之は好きなので)
またゆっくりお邪魔させていただきますね。