『消えちゃったドラゴン』パトリシア・C・リーデ
『囚われちゃったお姫さま』の続編。
この〈魔法の森シリーズ〉は全4巻あり、本書は2巻目となる。読み終えて感じたのだが、これってシリーズ化するほどでもないような気がする。のっけから否定的なレビューで申し訳ないけれど。
消えちゃったドラゴン 魔法の森2
- パトリシア・C・リーデ
- 東京創元社
- 2520円
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書評
“お姫さまらしからぬ”シモリーン姫に代わって今回主人公を務めるのは、“王さまらしからぬ”若きメンダンバー王。
良く言えば新しいキャラクターの登場だが、悪く言えばたんに男女が逆転しただけのこと。形式ばったことが大嫌いで、王子様に救い出されるのを待っているような頭がからっぽの姫にはうんざりしている、という人物設定は、まさにシモリーンの男性版だ。
人間の脳というのはおかしなもので(私だけかもしれないが)、「これは前に読んだ○○に似ている」といったふうに、自然と自分の中にある記憶を引っ張り出し照らし合わせてしまうものである。
で、本作。メンダンバーの人となりを紹介した冒頭数ページで、私は完全に「シモリーンの男版」というイメージを植えつけられ、最後までそれを拭うことができなかった。違いといえば、元気いっぱいのシモリーンに比べて控えめなことぐらいだろうか。
キャラクターの魅力という点では、前作に比べて格段に落ちるし、新鮮味に欠ける。相変わらず独立心たくましいシモリーンの登場にほっとするものの、彼女が主人公だったら…、と今更どうにもならないことを考えてしまう。
メンダンバーが魔法の森でドラゴンに焼かれた跡らしき荒れ地を見つけ、その調査に乗り出していく、という物語は、早い段階で展開が読める(そして予想通りにことは進んでいく)。第一、魔法使い協会会長のゼメナーが登場した時点で、胡散臭さがぷんぷん漂ってこようというもの。
人間を困らせるノルマに嫌気がさしている巨人や、たくさんの子どもを抱えて金欠のドワーフなど、おとぎ話をモチーフにした細かいエピソードはとてもおもしろいのだが、全体としては前作と大差ない内容になってしまったのが残念である。
おとぎ話の定石を逆手に取ったファンタジーなのに、なぜかラストはしっかり王道で締めたのも拍子抜けした。あそこは、シモリーンからアクションを取るべき場面だろう。
とはいえ前言を撤回するようだが、魔女のモーウェンが主人公になる第3巻は、実は楽しみにしている。
ちょっとブラックでクールな彼女は、前に出るようなタイプじゃないのに妙に存在感があって好きなキャラクターなのだ。理屈をこねる魔術師テレイメンとの掛け合いがおもしろかったのだが、また読めるのだろうか。[Amazon]
アメリカ:田中亜希子・翻訳
Searching for Dragons (Enchanted Forest Chronicles, 2)
Patricia C. Wrede

※本書は、本が好き!経由で献本していただきました。



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