『ぶたばあちゃん』マーガレット・ワイルド・文/ロン・ブルックス・絵
人生最期の日をどう迎えるか―。
地球終末を待たなくとも、誰にでも平等に「その日」はやって来る。ただそれがいつか、ほとんどの人は分からないだけで。
死をどう捉えるか、という普遍的な問題は、ひょっとすると難しい言葉を並べるよりも絵本というツールの方がストレートに心に届くものなのかもしれない。ただ、子どもに読み聞かせる場合は、その後のフォロー(親子の会話など)が大事。死を受け入れる姿を、ごくシンプルに、水彩画の優しいタッチで描いた絵本が、本書である。
ぶたばあちゃん
- マーガレットワイルド
- あすなろ書房
- 1575円
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書評
仲良く家事を分担しながら、長い間一緒に暮らしてきた〈ぶたばあちゃん〉と〈孫むすめ〉。
ある朝、二人の生活に変化が訪れる。それは誰も逃れられない自然の摂理。死期を悟った〈ぶたばあちゃん〉は、別れの支度を始めて・・・。
愛する家族や自然の恵みに感謝しながら、心穏やかに別れを告げる。〈ぶたばあちゃん〉のような最期を迎えられたら理想的だろう。
それにはおそらく充実した「生」があってこそ、なのだと思う。
物語は始まりから永遠の別れを予感させるが、さらりとまとめられた〈ぶたばあちゃん〉と〈孫むすめ〉の日常風景が効果的。ああ、二人の暮らしは平凡だがとても幸福なものだったのだ。
「死」を受け入れていく過程でこれまでの「生」を照射した本作は、別れの悲しみよりも、生きることや愛することの喜びを読み手の心にそっと残してくれる。
また、この絵本は、〈ぶたばあちゃん〉側から見るか、〈孫むすめ〉側から見るかで趣を異にする。
旅立つ者と、見送る者。〈ぶたばあちゃん〉と〈孫むすめ〉は、数日をかけてそれぞれ「その時」を迎える覚悟をする。ラストで満ち足りた表情の〈ぶたばあちゃん〉と決然とした〈孫むすめ〉の姿がとても印象的だ。
重く寂しい題材を扱っていながらも、どこかすがすがしく感じるのは、互いに相手を思いやる気持ちにあふれているからだと思う。周りに支えられ、与え合いながら、皆生きている。そんな大事なことに気づかされる、心あたたまる絵本である。
オーストラリア:今村葦子・翻訳
※本書は、本が好き!経由で献本していただきました。



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