12月に読んでおもしろかったマンガ

当人が真剣であればあるほど、その姿は傍から見ると滑稽に感じられるものである。
そんな人間の可笑しさを描くのに、ギャグ漫画はうってつけだと思う。「馬鹿馬鹿しい」は、私の中で最大級の賛辞だ。
さて、今月読んだ漫画で特におもしろかった新刊二冊をご紹介。どちらも続きが楽しみな第一巻である。

ヤマありタニおり 1 (講談社コミックスキス)まずは、日下直子の『ヤマありタニおり』
折り紙をこよなく愛する地味で内気な高校生・相田義経が主人公。同級生たちがスポーツや恋愛に情熱を傾ける中、マイナー街道まっしぐらに折り紙を折っている。
そんな義経の特技に、インテリの布施と体育会系の宮本という人気者ふたりが興味を持ち、「折り紙同好会」なるものが結成される。

注目度急上昇の折り紙に、青春と笑いを絡めたギャグ漫画。
「地味」「一人でするもの」といった折り紙のイメージを逆手に取って、ことごとく笑いに転嫁していく。自分に自信が持てない少年の自虐ネタ満載だ。『ちびまる子ちゃん』ばりのタテ線の入った表情が笑える。
ただ、青春ギャグ漫画としてはおもしろいのだけど、折り紙の真価を知らしめたとは言い難いかな。「ORIGAMI」がワールド・ワイドになった時代なのだから、もっと高度な折り紙も紹介すればいいのになあ。

テルマエ・ロマエ I (BEAM COMIX)つづいて、ヤマザキマリの『テルマエ・ロマエ』
古代ローマの設計技師が、なぜか風呂場限定で現代日本にタイムスリップしてしまう、という奇想天外な物語である。

ブラボー!師走に突如現れ、強烈な印象を残していった一冊だ。
「テルマエ」とは浴場のことで、タイトルは「ローマの風呂」とでもいったような意味合いだろうか。
「いかに入浴を楽しむか」ということを大真面目に考えた、風呂に対する並々ならぬ執着と愛情を感じる作品である。入浴はたんなる衛生面に留まらず、れっきとした文化なのだ。
歴史、SF、比較文化といった要素を内包した漫画だが、大本にあるのは究極の「馬鹿馬鹿しさ」である。

銭湯、露天風呂、家庭の浴室、ショールーム、湯治…。浴場設計に行き詰まるたびに、現代日本の風呂場へとワープしてしまう主人公・ルシウス。
彼が何に着目し、そこで得たアイディアをどんな風に古代ローマに持って帰るのか。異文化との遭遇(実際、時空も超えているのだけど)からの、変換の妙を楽しめる一冊。
唯一気がかりなのは、風呂限定でこの先ネタがもつのか、ということである。

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