『クロニクル千古の闇6 決戦のとき』ミシェル・ペイヴァー
「早く先を読みたい」とはやる思いと、終わりが近づく寂しさ。
そんなジレンマにもだえつつ、ページをめくっていった。「クロニクル千古の闇」シリーズもついに最終巻である。
最強の〈魂食らい〉イオストラとの対決を前に、森には不穏な空気が立ち込める。悪霊による病と異常気象。雪と氷で覆われた地表さながら、氏族たちの心も不安や恐怖で固く閉ざされてしまう。イオストラの邪悪な支配を阻止するため、一人旅立つトラクを待ち受けていたものとは…。
〈魂食らい〉を倒すには、トラクとウルフ二人がかりでかかって行かなきゃならんのだろうな、と予想はできるのだけど、敵もさることながら、あの手この手でトラクたちを分断させようと試みる。
トラクの孤独、ウルフの絶望、レンの逡巡…。直接対決というリングに上がるまでの登場人物たちのさまざまな葛藤や張り詰めた緊張感が、本書の読みどころである。
物語の白眉は終盤、トラクが思ってもみなかった人物と再会する場面。
そこでトラクが下した決断は、彼のたしかな成長を感じさせ、一巻から読み続けてきた者としては感慨深いものがあった。父親の死から始まったトラクの長い旅が、この時ようやく一区切りついたような、感動的なシーンである。
それにしても、6巻シリーズも読み終えてしまうとあっという間だった。
自然と共生する古代の人びとの暮らしぶりを生き生きと映しながら、登場人物たちの心の揺れや成長を繊細に描き上げた本シリーズは、細部に至るまであますところなく楽しめるファンタジーである。
最後までイオストラの個性を描き切れていなかった点は不満だけど、終わりよければすべてよし。綿密な調査に裏打ちされた6000年前の世界にどっぷり浸れたことは、至福の読書体験だったに違いない。[Amazon]
イギリス:さくまゆみこ・翻訳
Ghost Hunter (Chronicles of Ancient Darkness)
Michelle Paver




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