カテゴリー : アジア・中国文学

『鹿鼎記(全8巻)』金庸

鹿鼎記〈1〉少年康煕帝 (徳間文庫) 鹿鼎記〈2〉天地会の風雲児 (徳間文庫) 鹿鼎記〈3〉五台山の邂逅 (徳間文庫) 鹿鼎記〈4〉二人の皇太后 (徳間文庫) 鹿鼎記〈5〉経典争奪 (徳間文庫) 鹿鼎記〈6〉クレムリンの女帝 (徳間文庫) 鹿鼎記〈7〉故郷再び (徳間文庫) 鹿鼎記〈8〉栄光の彼方 (徳間文庫)

とかくヒーローという存在は応援したくなるものだが、本作の韋小宝(い・しょうほう)は到底読者の支持を得られそうにない。
好きなものは女と金と博打。勇気も根気もなく武芸はからきしだが、要領の良さと口の悪さは天下一品。
こういう人間はいつか天罰が下りそうに思うのだが、それどころか天下の康熙帝の心を掴んで順調に出世し、他方で反清復明を掲げる英雄好漢たちに一目置かれる存在にまでなってしまう。
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『グローバリズム出づる処の殺人者より』アラヴィンド・アディガ

グローバリズム出づる処の殺人者より近年、グローバリズムの負の側面がさかんに取り上げられるようになってきたが、本書もその流れを汲んだ一冊といえるだろう。ドキュメンタリーよりも生々しい現代インドの姿が、ここにある。
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『倚天屠龍記(全5巻)』金庸

倚天屠龍記〈1〉呪われた宝刀 (徳間文庫) 倚天屠龍記〈2〉黒い刻印 (徳間文庫) 倚天屠龍記〈3〉盟主の条件 (徳間文庫) 倚天屠龍記〈4〉魔女と魔剣と (徳間文庫) 倚天屠龍記〈5〉選ばれし者 (徳間文庫)
あなた、女難の相が出てますよ。
もし、主人公・張無忌(ちょう・むき)が街角の占い師の前を通り過ぎたら、こんな言葉で呼び止められるのではないだろうか。

愚鈍で妻に頭が上がらない郭靖と、一途に突き進むがために周りと衝突する楊過。彼らの欠点なんて、たいしたことなかったな。と、思えてしまうほどのへたれキャラである。腕は立つが、優柔不断で騙されやすい。「よき指導者ではないが、いい友達にはなれると思う」と作者にフォローを入れられているところが、なんだか情けない。こんな男が射鵰三部作のラストを飾っていいものなのか。
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『神鵰剣侠(全5巻)』金庸

神〓剣侠〈1〉忘れがたみ (徳間文庫) 神雕剣侠〈2〉モンゴルの野望 神=剣侠〈3〉襄陽城の攻防 神〓剣侠〈4〉永遠の契り (徳間文庫) 神〓剣侠〈5〉めぐり逢い (徳間文庫)
射鵰三部作の第二部。
『射鵰英雄伝』から十数年後の物語は、前作で非業の最期を遂げた楊康の忘れ形見・楊過が主人公である。
常識にとらわれず一途に突き進むため周囲と衝突しやすいが、聡明で義理人情に厚い漢(おとこ)だ。彼が師弟の絆を結び、やがて惹かれ合うようになるのが、18年間世間と隔絶されて育った古墓派の後継者・小龍女
乱暴にまとめれば、南宋とモンゴル軍との攻防戦を背景に、世間知らずの美女と反骨精神みなぎる男が武林中をかき回しながら、幾多の障害を乗り越え絆を深めてゆく物語である。
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『射鵰英雄伝(全5巻)』金庸

射雕英雄伝―金庸武侠小説集 (1) (徳間文庫) 射雕英雄伝―金庸武侠小説集 (2) (徳間文庫) 射雕英雄伝―金庸武侠小説集 (3) (徳間文庫) 射雕英雄伝〈4〉雲南大理の帝王 射雕英雄伝〈5〉サマルカンドの攻防
「読み出したら止まらない」という帯の謳い文句すら生ぬるく感じてしまう私は、完全に金庸ワールドの虜である。全作品を読破するまで、この熱は冷めないと思う。
本棚を他人に見られるのは脳内を覗かれるようで落ち着かないものだが、ネット書店の購入履歴を自分で見てもかなり恥ずかしい。いま金庸に夢中なのがバレバレだ。
考えてみれば、歴史好き、三国志好き、格闘技好きの私が武狭小説にハマらない訳がないのである。月並みな表現だが、とにかく「おもしろい」のひと言に尽きる。久しぶりに爽快な(といっても連日寝不足だが)読書を堪能した。
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『赤い高粱』莫言

赤い高粱 (岩波現代文庫)現代中国文学を代表する作家・莫言。
『赤い高粱』は、彼の名を世に知らしめた出世作である。
もともとは、独立した中篇小説として発表されたもの。後に、中篇四篇を合わせた『赤い高粱一族』として一冊の本にまとめられた。「赤い高粱」「高粱の酒」「犬の道」「高粱の葬礼」「犬の皮」の五篇から前二作のみを文庫に収めたのが、本書。
なぜ後の三作を外したのか、という疑問は残るが、第一章の「赤い高粱」だけでも十分読み応えのある一冊である。というより第二章「高粱の酒」は、高粱酒を作る様子は興味深かったが、一部の人間を切って捨てるような描写に引っかかりを感じて素直に楽しめなかった。
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『神樹』鄭義

神樹すさまじい一冊である。
樹齢数千年の〈神樹〉の突然の開花から始まる物語は、近代中国の歴史と過酷な運命に翻弄されてきた民衆の姿を鮮明に映し出す。もっとも、「鮮明に」とは、上品過ぎる表現かもしれない。ここで描かれる情景はあまりにも生々しく、いまにも血と涙が流れ出してきそうなのだから。

北京五輪の開会式で繰り広げられた、中国五千年の歴史絵巻が記憶に新しい。文字の発展や大航海の始まりなど、あちらが中国の輝かしい歴史だとすれば、こちらはいわば影の側面を描いたものといえるだろう。
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『観光』ラッタウット・ラープチャルーンサップ

観光 (ハヤカワepiブック・プラネット)同時期に読んだ、イーユン・リーの『千年の祈り』 は、うまいなぁと思うものの、あまり私の好みに合わなかった。けれど、同じく英語で創作するアジア系作家の作品集である本書には、感じ入るものが多かった。
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『千年の祈り』イーユン・リー

千年の祈り

  • イーユンリー
  • 新潮社
  • 1995円

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書評

重松清さんの著書に『哀愁的東京』という小説があるが、本書を漢字一文字で現すなら、「哀」だろうな、と思う。
本書に収められた10篇の物語は、どれも切なさが漂う。それは、家族ほど強い結びつきがあろうとも、人と人との間にはお互いを理解し合えない溝があることに、改めて気づかされるからだ。
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『ティルックラル 古代タミルの箴言集』ティルヴァッルヴァル

ティルックラル―古代タミルの箴言集 (東洋文庫 (660))本書は、南インド・タミル地方で(諸説あるが)5~6世紀頃に書かれた箴言詩集の全訳である。日本では、古墳時代~飛鳥時代にあたる。
作者は、詩人のティルヴァッルヴァル。私の調べた限りでは、日本で読めるティルヴァッルヴァルの作品は、この一冊だけだと思う。
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『睡蓮の教室』ルル・ワン

睡蓮の教室

  • ルル・ワン
  • 新潮社
  • 2940円

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書評

蓮は、泥水の中できれいな花を咲かせる。しかも、その泥水が濃ければ濃いほど、大輪の花を咲かせることができるという。
泥水は、しばしば汚濁の俗世―人生におきかえれば、苦しみ・悲しみ・困難など―に見立てられる。
この作品では、タイトルの「睡蓮」は三つの意味で使われている。
一つは、語り手の少女の名前として。
二つ目は、彼女が過ごした収容所生活での憩いの地に咲く植物として。
そして三つ目は、抑圧された社会状況の中で、汚れることなく美しく花開いた、二人の少女の友情の象徴として。
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『女帝 わが名は則天武后』シャン・サ

女帝 わが名は則天武后本書は、中国唐王朝3代皇帝・高宗の皇后であり、後に周王朝を築き、中国初の女帝となった則天武后の生涯を描いた物語である。
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