『朗読者』ベルンハルト・シュリンク
- 2009年 8月25日
カテゴリー : ドイツ文学
過去に犯した罪をどのように裁き、どう受け入れるのか。
戦後のドイツ人は、ナチズムという負の遺産を前に、徹底した自己批判とその反動とのはざまで苦しんできたといえる。
執拗に、繰り返し語り継がなければ記憶は風化する、あっけなく。その意味では、真に“戦争”が終わることはないのかもしれない。そんな終わらない戦争を、母と子の確執を通して描き出したのが、本書である。
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きっかけは、ほんの偶然。
第二次大戦下のドイツ、男女の出会いと別れのドラマから、ある食べものが生まれた。カレーソーセージ。輪切りにしたソーセージを、カレー粉とケチャップを混ぜ合わせたソースに絡めて炒めた、ドイツの庶民的な食べものである。
一見相容れない「カレー」と「ソーセージ」がどのようにして結びつき、広く親しまれるようになったのか?その誕生の謎に迫る時、戦中戦後の混乱をたくましく生き抜いたひとりの女性の人生が浮かび上がってくる。
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触れようとするのにするりとかわされ伸ばした手は空を切り、よく見ようとするのに靄がかかってぼんやりとしか映らない。そうしてただ、もどかしさばかりが募ってゆく。
本書を読んで、そんなことを感じた。そしてそれは、アディーナという少女が母のカーラに抱く思いそのものなのである。
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『ルリユールおじさん』、『フィレンツェ幻書行』と、蔵書修復に関する本を続けて読んでいたら、「そういえば、あれも・・・」と思い出して久しぶりに再読した一冊。
主人公は、12歳の少女・メギー。彼女の父親は、本の修繕を仕事にしており、本の収集家や古本屋、図書館などから依頼を受けて出向いていく。
物語は、主人公の父親(通称・モー)が持つ、ある不思議な力をめぐって繰り広げられる。
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世間の人々から尊敬されている老作家が、休暇先のヴェネツィアで出会った一人の美少年を愛する姿を描いた『ヴェネツィアに死す』。
あらすじを読めば、本書は同性愛、もしくは小児性愛をテーマにした作品のように思えるが、むしろ芸術論に近いのかもしれない。
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「海賊ジョリーの冒険」三部作の第二部。
海上都市エレニウムに辿り着いたミズズマシのジョリーとムンクたち。そこで彼らは、〈暗黒の海〉」の手先〈大渦潮〉と戦うためのさまざまな訓練を受けることに。
自らに課せられた使命の重圧に苦しむジョリー。反対に、特殊な能力に得意になって自分を見失うムンク。本書では、二人の性格の違いがはっきりと現れ、そのために生じるすれ違いも描かれる。
次第に明らかになってくる敵の正体は、最終巻への期待を膨らませる。
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海賊が活躍する海洋冒険モノかと思いきや、本書はもうひとひねり加えられている。
書き出しは、こうだ。
ジョリーは海の上を駆けていた。はだしの足が一センチほど水に沈んでいる。その下には青い深淵が口をあけている。海底まで数百メートルはあるだろう。
海の上を駆けていた?この、さらりと書かれた冒頭を読むだけで、一気に物語の世界に引き込まれてしまう。
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戦争を描いたドイツ作品には、たくさん優れたものがあるが、本書のような切り口を初めて読んだ。
舞台は、第二次世界大戦末期のドイツ。
戦争に行った兄はロシアで行方不明になり、ナチスに反抗した父は強制収容所へ送られ、母は空襲の混乱で行方知れず。ひとりぼっちになった14歳の少女・エンフェンは、農家へ預けられ、その村でロシアから労働者として強制的に連れて来られた若者たちと出会う。敗戦が濃くなった頃、外国人労働者たちが村から連行されることを知ったエンフェンは、ロシア人の少年・セルゲイを逃がそうと決意。
本書は、人種の違いを越えて育まれた二人の交流を、生き生きと描いた作品である。
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乱読・積読・併読の本の虫による書評。 海外文学、歴史、YAなど。
Author’s Name:ぐら
長年愛読していた日経新聞に嫌気がさしたので、おもいきって他紙に変えてみた。にしても、ワイドショーと大差ない政治面はどうにかならんものかねぇ。。。(9.1)