『青年時代』トルストイ
- 2009年 5月12日
カテゴリー : ロシア・東欧文学
トルストイの自伝的小説。
本書は、北御門二郎氏の未発表翻訳原稿(1979年3~6月)を出版したものである。「なぜ今、この作品?」と不思議に思ったところ、『幼年時代』『少年時代』『青年時代』三部作の出版は、亡き訳者の希望だったそうだ。
というわけで、今回新たに登場したといっても「新訳」ではない。ただ個人的に、北御門氏の翻訳には感慨深いものがある。
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ショーロホフは、私の母が愛読していた作家である。
いつだったか、映画「静かなるドン」が深夜に放送されるのをテレビ欄でチェックした母が、「これ、絶対撮っといて!」と私に頼んできたことがあった(自分はビデオ録画できないので)。
で、次の日さっそく観ることに。「ロシア文学の傑作」と聞いていたので、オープニングから出演者が日本人の時点で「?」となる。そのうちドンパチが始まる。これはどうみてもヤクザ映画だ。とんだ「ドン」違いだったのである。
映画で肩透かしを食らったこともあって、いつか『静かなドン』を読みたいと思っているのだが、いかんせん大著なので手が伸びにくい。そうこうしているうちに、『人間の運命』が復刊された。これは、5つの作品が収められた短篇集である。
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モスクワの公園で、神の実在性を論じ合う二人の文学者。
そこに外国人らしき怪しげな男が現れて、彼らの会話に割り込んでくる。< 教授>と名乗るその男が自信たっぷりに「イエスは存在していた」と話し始めるところで場面は一転し、捕らえられたイエスを尋問するローマ総督ポンティウス・ピラトゥスが登場。舞台は再び公園に戻り、やがて< 教授>の予言どおり衝撃的な出来事が次々と起こっていく。
< 教授>の正体が悪魔であることはすぐ明らかになるものの、この悪魔ヴォランドが4人の手下を従えてモスクワ中を大パニックに陥れる乱暴狼藉ぶりは、常軌を逸している。とりわけ、文学・演劇関係者への攻撃はすさまじい。非業の最期を遂げる者、精神病院に送り込まれる者、遠くへ飛ばされる者など、執拗なまでに痛めつけられるのだ。
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