カテゴリー : 国内文学

『たすけ鍼』山本一力

たすけ鍼舞台は、天保年間の深川。
ここに、“ツボ師”の異名を取る凄腕の鍼灸師がいた。還暦を迎えてなお矍鑠としており、日々多くの患者たちの治療にあたり、子どもたちに自分の技術を教える寺子屋も開くというパワフルさ。全国の還暦世代に活を入れるかのような、ニューヒーローの登場である。
本書は、この鍼灸師・染谷(せんこく)を中心にして、町人や船頭、川並(いかだ乗り)、大工、芸者など、深川で暮らす市井の庶民の姿を生き生きと描いた時代小説である。山本一力さんの“深川モノ”が好きな人は、安心して身を委ねられる一冊である。
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『西遊記(上・下)』平岩弓枝

西遊記〈上〉西遊記 下ご存知、三蔵法師が弟子の孫悟空、猪八戒、沙悟浄とともに、唐の都・長安から天竺へ経典を求めて旅する物語である。
子ども向けではなく、一度しっかり西遊記を読んでみたいと思っていたところ、平岩版が出たので喜んで手を伸ばした。もっとも、かわいい挿絵に惹かれたのが一番の理由だけど。物語自体おもしろいとはいえ、この挿絵がなければ、上下二段組で900ページ近くある作品を難なく読み進められなかったかもしれない。
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『明智左馬助の恋』加藤廣

明智左馬助の恋信長の遺骸は、一体どこへ消えたのか?
「本能寺の変」を巡る最大の謎を独自の仮説で展開する、三部作の完結篇。今回は、信長を死に追いやった張本人・光秀側から光が当てられている。語り手は、光秀の娘婿・明智左馬助。これまでの登場人物の中では、飛び抜けていい男である。
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『カシオペアの丘で(上・下)』重松清

カシオペアの丘で(上)カシオペアの丘で(下)重松清さんの作品が好きで、よく読む。
彼の作品を読むと、人間の弱さやずるさすら愛しく感じる。そんな重松さん節を堪能できるのは、やはり長篇小説である。
物語の舞台は、北海道。
丘の上で満天の星空を見上げた4人の子どもたちは、30年後、ある痛ましい事件がきっかけで、再び思い出の地に集うことになる。無邪気に未来を夢見ていた子どもは、もういない。故郷を捨てた一人は病魔に侵され、地元に残った一人は経営難と闘い、紅一点の一人はその伴侶となり、ムードメーカーだった一人は東京で独り身を貫く。人生の半ばを迎えた彼らは、「死」という現実を前にして、過去を振り返り、やがて未来に目を向けるようになっていく。
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『小学五年生』重松清

小学五年生少年は、小学五年生だった。

こんなプロローグで始まる17の物語。主人公はすべて、小学五年生の男の子。40代の中年男性と10歳前後の少年を主人公にした小説は、重松清さんの十八番といえるだろう。
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