『ホーミニ・リッジ学校の奇跡!』リチャード・ペック

ホーミニ・リッジ学校の奇跡!

  • リチャードペック
  • 東京創元社
  • 1890円

Amazonで購入
書評

小学生の私にとって大雨洪水警報は、まさに天から降ってくるプレゼントに思えたものだ。
警報が出れば、学校は休みになる。朝起きて外がざあざあ降りになっていようものなら、「今日はイケるんじゃないか」と淡い期待を胸に、登校時間ギリギリまで粘っていた。同じように、風邪が流行って学級閉鎖になったときもはしゃぎ回っていた。
もちろん、子どもたちを学校から解放することが、警報や学級閉鎖の目的ではない。困っている人たちを尻目に、己のちっぽけな喜びに浮かれていたのだから、なんて不謹慎だったのだろう。それでも、学校嫌いの子どもにとってはそこから一時でも逃れられれば、なんだって嬉しいものなのだ。
続きを読む

『核を売り捌いた男ー死のビジネス帝国を築いたドクター・カーンの真実』ゴードン・コレーラ

核を売り捌いた男ー死のビジネス帝国を築いたドクター・カーンの真実世界を股にかけて核関連物資・技術を売り捌いていた男・アブドゥル・カディール・カーン。
数年前、彼が牛耳っていた核兵器市場の実態が暴かれたとき、その闇の深さに驚くとともに、どうやって一介の科学者が強大な権力をもつに至り、何十年にもわたって自由に活動できたのか、不思議に思った。また、私には悪の手先にしかみえない(“博士”という敬称に違和感を覚える)カーンが、祖国・パキスタンでは「核開発の父」とまで呼ばれ、今でも英雄扱いされていることがどうしても理解できなかった。
カーンは一体何を行ったのか? カーンが世界に与えた影響は?彼の動きが封じられた後もなお残された問題とは?本書は、各国政府や関係者の取材をもとに核の闇市場に迫ったドキュメントである。
続きを読む

『ミシシッピがくれたもの』リチャード・ペック

ミシシッピがくれたもの (創元ブックランド)アメリカ人にとって、南北戦争は核になっていると思う(実際に尋ねたことはないが)。
南北戦争によっていまのアメリカが形作られ、戦争のずっと後に産まれた世代の体を流れる血にも、当時の記憶のようなものが脈々と受け継がれているのではないか。
牧歌的でユーモア溢れる『シカゴよりこわい町』『シカゴより好きな町』から一転して、『ミシシッピがくれたもの』は、歴史の重みと人々の悲しみの深さを感じられる作品である。
続きを読む

『〈眠り病〉は眠らない―日本発!アフリカを救う新薬』山内一也・北潔

“眠り病”は眠らない―日本発!アフリカを救う新薬 (岩波科学ライブラリー)普通の人より睡眠時間が多い方だと思うが、それでも毎日異常に眠い。心ゆくまで眠れたらどんなに幸せだろう。
ところが、眠り続けて最後には死亡するという、ギクリとするような病気があるのだという。その名も、「睡眠病」。本書は、睡眠病研究の歴史と現状を紹介した一冊である。
続きを読む

『かわべのトンイとスニ』キム・ジェホン

かわべのトンイとスニ (創作絵本シリーズ)5月である。新緑が目に眩しいこの時期が、年間をとおして一番好きだ。爽やかに晴れわたった青空を、つい時間を忘れて見入ってしまう。
子どもの頃、浮かんでいる雲を眺めながら、そのかたちが何に見えるか、想像しては楽しんでいた。さまざまに姿を変える雲に意味をもたせると、ぐっと身近に感じられるからおもしろい。
さて、好天に恵まれたゴールデンウィーク、川へ遊びに行った人も多いと思う。木々やあちこちに転がっている岩が、ただの木や岩ではなく、なにか別の姿に見えたことはないだろうか。周りをじっくり観察してみると、目の前に違った風景が広がっていることに気づくだろう。
続きを読む

Page 29 of 76« First...1020...2728293031...405060...Last »