『最後の場所で』チャンネ・リー

最後の場所で (新潮クレスト・ブックス)「礼節ある良き日系アメリカ人」として、周囲の人々から尊敬と人望を集める老人、ドク・ハタ。満ち足りた生活を送っているように見える彼の心には、ある忘れられない過去が影を落としている。
在日コリアンとして生を受け、日本人夫妻の養子となり、戦後アメリカへ渡る。常に「アウトサイダー(よそ者)」という意識から逃れられず、心の内は孤独だ。
原題が“A Gesture Life”とあるように、彼は体裁と礼儀で周囲に溶け込もうと懸命に努力する。ここが自分の「最後の場所」と決めて骨を埋めようとする姿が、読んでいて切なく、悲しい。なぜなら、いくら年月が過ぎようとも、どこも彼の心の安住の地にはならないから。
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『ケンタロウの和食 ムズカシイことぬき!』ケンタロウ

ケンタロウの和食 ムズカシイことぬき! (講談社のお料理BOOK)日本人ってすごいと思う。
なにしろ、世界中の料理を毎日の食卓にのせて楽しんでいるんだから。中華にイタリアン、フレンチ、韓国料理、地中海料理…。

いろんな料理がある中で、やっぱりホッとするのは、和食。海外に行った時、無性に懐かしく思うのは、お味噌と海苔の香りだ。
けれど、料理初心者がいざ和食を作ろうとすると容赦なく襲い掛かる「ムズカシイ」の壁。その壁を見事に取っ払ってくれるのが、本書である。
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『江青に妬まれた女―ファーストレディ王光美の人生』

江青に妬まれた女―ファーストレディ王光美の人生純白のチャイナドレスを優雅に着こなし、艶のある黒髪をゆるくまとめ、にこやかに微笑む美しい女性が、数年後に「反動的ブルジョワ分子」と罵られ人々の前でさらし者になり、12年間の監獄生活を送ることになるとは、一体誰が予想できただろうか。
本書は、中国国家主席を努めた劉少奇の夫人・王光美の生涯を描いた一冊である。
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『ウルトラ・ダラー』手嶋龍一

ウルトラ・ダラーついに、北朝鮮が地下核実験を行った。
拉致、麻薬、偽札作り、と国家主導で犯罪に手を染め続ける半島の暴挙に、予想通りという思いと、ここまで来たか、という失望と、今後に対する不安とが入り交じり合っている。
そんな情勢の中読んだ本書は、ひと際感慨深いものがあった。NHK前ワシントン支局長であり、現在外交ジャーナリストのバックグラウンドを持つ著者の手による本書は、豊かな経験と資料に裏打ちされて、圧倒的なリアリティをもって読み手に迫ってくる。出版と同時にベストセラーとなったのも、十分納得できるものだ。
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『柘榴のスープ』マーシャ・メヘラーン

柘榴のスープページの間から、香辛料の独特の香りが漂ってくるような作品である。
舞台は、アイルランドの小さな村・バリナクロウ。
イラン革命を逃れてきた三姉妹が、この田舎町で「バビロン・カフェ」というペルシア料理店をオープンするところから物語は始まる。長女のマルジャーンは、おいしい料理は人に癒しと活力を与えると信じて疑わない。次女のバハールは、過去に受けた暴力が原因でナーバスになっている。末っ子のレイラーは、周りを華やかな雰囲気にする美しい少女。
突然現れたよそ者に、最初はとまどっていた町の人たちだが、おいしい郷土料理に魅せられて徐々に三姉妹を受け入れるようになっていく。本書は、文化の違いを超えた心の交流を、ユーモラスに描いた物語である。
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